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パクリ疑惑のある日本映画は…? 物議をかもした問題作(4)「劣化版のパクリ」とも言えないまさかの理由とは?

現在、日本では年間500本以上の映画が制作されている。しかし、いちから作品を作るのはいつの時代も難しい。そのため、時には、ヒット作のアイデアをしれっと拝借…なんてことも。そんなわけで今回は、ハリウッド映画からのパクリ疑惑がある邦画5本をご紹介。見どころとツッコミどころを解説する。(文・編集部)

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『スター・ウォーズ』をパクり、逆に影響を与えた

『宇宙からのメッセージ』(1978)

真田広之
真田広之Getty Images

上映時間:105分
監督:深作欣二
脚本:松田寛夫
出演者:ビック・モロー、志穂美悦子、真田広之、千葉真一、成田三樹夫

【作品内容】

アンドロメダ星雲の惑星ジルーシアは、皇帝ロクセイア12世率いるガバナス帝国の侵略により滅亡寸前だった。そんな中、ジルーシアの大酋長キドは、星を救う8人の勇者を招くと伝えられている「聖なるリアべの実」を宇宙に放ち、孫娘エメラリーダにその後を追わせる。

その後、リアべの実は地球連邦に漂着。元将軍のガルダ、宇宙暴走族の若者シローとアロン、チンピラのジャック、富豪令嬢のメイアに拾われ、この集団にガバナス帝国を追われた正統の王子ハンスが加わる。

一方その頃、美しい地球に目をつけたロクセイア皇帝は、圧倒的な武力を盾に新たな侵略の魔の手を伸ばしてくる。彼らは地球を、そしてジルーシアの未来を守れるのか?

【注目ポイント】

1977年に制作され、世界を席巻した映画『スター・ウォーズ』。その「劣化版のパクリ」として挙げられることが多いのが、この『宇宙からのメッセージ』だ。

監督を務めたのは『仁義なき戦い』シリーズで知られる名匠、深作欣二。キャストには、アメリカ人俳優ヴィク・モローのほか、千葉真一や真田広之が名を連ねている。

「洋画のヒット作を日本で焼き直せば必ず売れる」という東映の社長、岡田茂の鶴の一声で、突貫で作られた本作。辺境の若者が宇宙戦争で活躍したり、激しい剣戟シーンがあったりと、確かに「本家」を思わせる描写が随所なら散りばめられている(現に『スター・ウォーズ』の配給先の20世紀フォックスは、版権侵害と息巻いたと言われる)。

とはいえ、『スター・ウォーズ』を丸パクリしているかというと、決してそういうわけでもない。『南総里見八犬伝』が物語のモチーフになっていたり、どことなくファンタジックな要素が散りばめられていたりと、特撮を思わせる自由なアレンジが全体に散りばめられている。

また、本家本元である『スター・ウォーズ』の製作チームは本作の撮影現場に訪れており、後年の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(1983年)では、『宇宙からのメッセージ』の演出(敵の要塞内部のトンネルを通過するシーン)から明らかに影響を受けた場面が登場するなど、逆転現象が見られることも特筆すべきだろう。

本作の世界観はその後1980年代の特撮作品に引き継がれることになる。そういった意味では、映画史的に重要な作品と言えるかもしれない。

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