鈴木亮平がすごい! 素晴らしい演技の傑作映画(1)。究極のバイオレンス映画? 家庭崩壊へ導くのは…?
text by 編集部
2007年の銀幕デビュー以来、日本映画界の中心で活躍する、俳優・鈴木亮平。コメディからサスペンスまで、実直な青年から極悪非道なヤクザまで、演技の幅はまさに変幻自在。今回は、どんなジャンルの映画でも唯一無二の存在感で魅せる彼の代表作を5本セレクト。ぜひチェックしてその豊かな演技を堪能してほしい。今回は第1回。
●母の“無償の愛”が家庭を崩壊へ導く。不器用な青年を熱演
『ひとよ』(2019)
上映時間:123分
監督:白石和彌
脚本:髙橋泉
キャスト:佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、大悟、佐々木蔵之介
【作品内容】
土砂降りの夜。タクシー会社を営む稲村家の母・こはるが、愛した夫を殺めた。それが、最愛の子どもたち3人の幸せのための最良の選択だった。こはるは、子どもたちに再会を誓い、家を去る。こはるに運命を狂わされた次男・雄二、長男・大樹、長女・園子、は、事件のあったあの晩から、心の傷を抱えながら人生を歩んでいた。そして15年後。3人のもとにこはるが帰ってきた―。
【注目ポイント】
本作は、「家族の絆」の喜びと悲しみを描いたヒューマンドラマで、劇団KAKUTAの劇作家・桑原裕子が手掛ける同名の舞台作品が原作になっている。メガホンを取るのは白石和彌。鈴木とはのちに『弧狼の血 LEVEL2』でもタッグを組んでいる。
これまで快活な役を演じることが多かった鈴木だが、本作では一転、吃音症を抱えた内気な青年・大樹を演じ、新境地を開拓した。撮影にあたり鈴木は、吃音の指導を受講。家族を守る立場でありながら、思い通りにコミュニケーションがとれないもどかしさを見事に演技に昇華している。
子どもを守るための母の愛により、文字通り「ひとよ(一夜)」で一変してしまった大樹たちの人生―。そういう意味で本作は「究極のバイオレンス映画」なのかもしれない。
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