官能的すぎる…国民的女優の濡れ場が堪能できる日本映画(3)伊藤沙莉がさらけ出す…ハダカの叫びが胸を打つ傑作
映画の物語を進めていく上で、官能的なシーンはスパイスになる。女性の裸には人の目を引く力が宿っている。だが、エロスと共にその女優が自分の体を使って何を伝えようとしているのかを感じることで、観客は胸を打たれるのではないだろうか。今回は表現の境地に立ち、果敢に濡れ場に挑戦した女優をセレクトしてご紹介する。(文・市川ノン)
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満たされない心を埋めるため
伊藤沙莉によるハダカの叫び
伊藤沙莉『獣道』
監督:内田英治
脚本:内田英治
出演:伊藤沙莉、須賀健太、アントニー、吉村界人
【作品内容】
地方都市でみずからの居場所を探す男女の姿を実話をもとに描いた作品。
新興宗教にハマる母から、愛情を受けずに育った愛衣(伊藤沙莉)。彼女は中学ドロップアウト後、親元を離れ、不良グループ、平凡な中流家庭などさまざまな場所を転々とする。
彼女に思いを寄せる亮太(須賀健太)も愛衣同様に彷徨うが、彼は半グレ集団に活路を見出していく。最終的に愛衣はAV女優としてみずからのアイデンティティをみつけていくのだった。
【注目ポイント】
ヤンキー、キャバ嬢、AV女優とキャリアを次々と乗り換え、波乱万丈な人生をおくる主人公・愛衣を演じた伊藤沙莉の体当たり演技に注目だ。
中流家庭の家に住まわせてもらっていた愛衣だが、その父親にキャバクラでバイトしていることがバレてしまう。激怒する父親にすがりつく愛衣はおもむろにバストをさらけだし、押しつけながら「お父さんの好きにしていいんだよ」と泣きながら訴える。
愛に飢える彼女の不器用な叫びが文字通りカラダ全体から伝わるシーンだ。
その後、デリヘル嬢となった愛衣だが、客との絡みシーンも登場。粗雑に本番を強要する客を拒みつつも、最後は着衣のまま受け入れざるを得ない姿は、彼女の人生の不遇さと重なるようだ。
物語終盤、愛衣は人気AV女優として撮影現場にいる。教室でセーラー服を着ている彼女は男優に股間をまさぐられるのだが、それまでのような悲壮感はない。特徴的なハスキーボイスの嬌声も、いくらかトーンが高いのだ。
それもそのはず、撮影後は監督や後輩女優に囲まれるなど、愛衣にとってそこが生きる場所になったからだ。
全編を通して発せられる伊藤のハダカの叫びは、多くの人の胸を打つに違いない。
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