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実は超低予算だったメガヒット映画は…? コスパ最高の名作映画(5)日本でゲリラ撮影…世界が絶賛した理由は?

text by 編集部

映画製作には莫大な費用が掛かる。しかし、人の心を掴む作品は必ずしもお金が掛かっていることとは比例しない。今回は、低予算にも関わらず、製作費を大いに上回る興行収入を叩き出し、大金を稼いだ大ヒット洋画作品を5本セレクト。今もなお人々の心に残る名作のヒットに至るまでの経緯や、製作の裏側を徹底解説する。

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一流スターが格安で出演
監督自身の体験を反映させたロマンティック・コメディ

『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)

女優のスカーレット・ヨハンソン
女優のスカーレットヨハンソンGetty Images

上映時間:102分
監督:ソフィア・コッポラ
脚本:ソフィア・コッポラ
出演者:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン

【作品内容】

写真家の夫と共に、東京の高級ホテルに滞在しているシャーロット(スカーレット・ヨハンソン)は、有り余る時間を持て余し、ひとりで東京観光をするも心が満たされない。そんなある日、CM撮影で来日していた初老のハリウッド俳優ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)が、同じホテルに滞在していることに気づく。お互いに不眠を抱えていた二人はホテルのバーで出会い、空虚な結婚生活やそれぞれが抱えた孤独について会話を交わす。やがて親しくなったふたりは、東京の街を散策し、淡い恋心が芽生えていくのだが…。

ソフィア・コッポラが製作・監督・脚本を務めた、ほんのり退廃的でハイソな雰囲気に満ちたラブストーリー。

【注目ポイント】

巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の娘であり、女優として活動しつつ監督にも進出、ファッションブランド『MILKFED.』の立ち上げにも関わるなどオシャレ界隈でもその名を轟かしていたソフィア・コッポラが、自身のプライベートな体験を反映させて撮りあげたオフビートなロマンティック・コメディ。

ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソンなど一流スターが出演しているが、ソフィアの作品ならと格安のギャラで出演したといわれ、さらに音楽も友達のバンドを起用するなど、ソフィア自身のオシャレ人脈で築き上げたプライベートフィルムような作品のため、製作費400万ドルと破格の低予算が実現した。

大規模な日本ロケを敢行しているので経費がかかりそうだが、渋谷スクランブル交差点や地下鉄、さらには新幹線車内などのシーンは許可を取っていないゲリラ撮影。様々な制約があるアメリカで撮るよりも結果的に安上がりだったかもしれない。日本人キャストも、ダイヤモンド☆ユカイや、マシュー南こと藤井隆、さらにNIGO、藤原ヒロシなども顔をみせるが、こちらも友情出演のようなものだろう。

しかし、作品が公開されると1億ドルを超える興行収入を稼ぎ出す大ヒット。アカデミー賞の主要4部門にノミネートされるなど、批評家からも高く評価された。

ソフィアは『ロスト~』の成功を経て、次作に念願の企画『マリー・アントワネット』を送り出す。こちらは時代モノだけに予算もかかったようで、製作費は『ロスト~』の10倍となる4000万ドル。自信満々でカンヌ国際映画祭に出品するもフランス国民から大ブーイングを受けるという騒ぎを起こすが、その後もまったくキズつかずにマイペースで好きな映画を撮り続けており、さすがセレブ育ちといったところ。

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