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イタくて酷い…ヤンキー漫画史上、最悪の実写化日本映画(2)謎のラップ…しかも下手…観て恥ずかしくなるのは?

text by ZAKKY

2023年には『東京リベンジャーズ』『Gメン』をはじめ、実写映画化に成功したヤンキー漫画原作。しかし、原作漫画はヒットしていたものの、実写されたことで世界観が違いすぎると炎上したものも少なくない。今回は、イタイとまで言われるツッコミどころ満載のヤンキー漫画原作の実写映画を5本セレクトする。(文・ZAKKY)

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ストリートギャングのラップミュージカル

『TOKYO TRIBE』(2014)

鈴木亮平
鈴木亮平Getty Images

監督:園子温
原作:井上三太
脚本:園子温
出演:鈴木亮平、YOUNG DAIS、清野菜々、大東俊介、石田卓也、市川由衣、叶美香、中川翔子、染谷将太、佐藤隆太、でんでん、窪塚洋介、竹内力、松浦新、石井勇気、坂口茉事、佐々木心音、中野英雄、泉澤祐希

【作品内容】

近未来のトーキョーを舞台に、「ブクロWU-RONZ」「ムサシノSARU」「シブヤSARU」「シンジュクHANDS」ら「トライブ(族)」と呼ばれるストリートギャングたちが縄張り争いを繰り広げている。その容赦のない暴力の中で繰り広げられる、友情・愛情劇。

【注目ポイント】

この映画をなぜワーストに入れたのか? 順を追って、説明をしたい。

そもそも、原作者・井上三太は、独得な絵柄で知られ、キャラクターの表情や造形によって、不穏な雰囲気を表現することにおいて、当代では右に出る者はいない存在だ。

ストーリー抜きに、原作の絵を見るだけで、何か不安な気持ちになるのだ。それだけに怖いもの見たさで、その後のストーリーが気になるという効果がある。そんな特性ゆえ、そもそもが実写化に向いていないのだ。

とはいえ、初期の名作『隣人13号』の井上靖雄監督による実写版は「別もの」として、独自の世界観を構築していて見事だった。もちろんストーリーに「待った!」をかけたい部分もあるが、小栗旬、中村獅童の怪演、そして、シュールなBGMも含め、観ていて戦慄が走った記憶がある。

問題なのは今作、『TOKYO TRIBE』だ。作り手はそんなハードルの高い井上三太ワールドを実写化するにあたって、なんと「ラップミュージカル映画」にするという苦肉の策に出た。

まず第一にギャングたちはそれぞれ独自のコミュニティやルールが存在し、それを誇りに思っている。このラップというモチーフでギャングコミュニティの結束を表現していることは分からなくもないが、発想が安易すぎなのでは? というのが率直な感想だ。

かつてのカラーギャングを思わせる架空の街の不良たちにはヒップホップがよく似合う。そもそもギャングスタラップは、街のギャングたちが無駄に血を流さずにケリを着けようとして始めたという側面があるわけで、ヒップホップ用語を借りれば、本作は文化の“ディグり”具合が浅いと感じざるを得ない。

また、MC SHOW役の染谷将太のラップが、はっきり言って下手すぎる一方、MC漢や、練マザファッカーといったモノホンのラッパーが出演しているため、観ていて居心地の悪い気持ちになる。

「ブクロWU-RONZ」を裏で操る帝王ブッバの息子・ンコイ役に窪塚洋介を起用しているのも、彼をコンバートしたい気持はわかるが、「また、池袋かよ(笑)!」と窪塚自身による発言も残されているとおり、観る側からしてもかなり恥ずかしいキャスティング。

数少ない見どころは、メラ役の鈴木亮平や、スンミ役の清野菜名のアクションシーンだ。ただ、登場人物が多すぎて、人間関係がよくわからないのも難点。原作ファンからもソッポを向かれたのはもちろん、一般の映画ファンの心を掴むことにも失敗。残念な作品だと断じていいだろう。

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