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イタくて酷い…ヤンキー漫画史上、最悪の実写化日本映画(3)なぜ作った…?何もかも中途半端で気迫ない失敗作

text by ZAKKY

2023年には『東京リベンジャーズ』『Gメン』をはじめ、実写映画化に成功したヤンキー漫画原作。しかし、原作漫画はヒットしていたものの、実写されたことで世界観が違いすぎると炎上したものも少なくない。今回は、イタイとまで言われるツッコミどころ満載のヤンキー漫画原作の実写映画を5本セレクトする。(文・ZAKKY)

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人気シリーズの中途半端な問題作

『クローズEXPLODE』(2014)

早乙女太一
早乙女太一Getty Images

監督:豊田利晃
脚本:向井康介、水島力也、長谷川隆
出演:東出昌大、早乙女太一、勝地涼、KENZO、矢本悠馬、奥野瑛太、遠藤雄弥、岩田剛典、永山絢斗、柳楽優弥

【作品内容】

物語は『クローズZEROⅡ』(2007)から1か月後の設定。前作の主人公・滝谷源治、芹沢多摩雄らが卒業した鈴蘭高校では、頂点の座を狙った争いが続いていた。そんな中、「自由気ままに生きたいだけ」と頂点争いに興味を示さない3年になってから転入をしてきた鏑木旋風雄(東出昌大)。好戦的に暴れるまくる新1年生・加賀美遼平(早乙女太一)が、接触してゆく。

【注目ポイント】

『クローズZEROⅡ』の大ヒットから数年後、三池崇史監督に代わり、豊田利晃監督がやらかしてしまったのが、今作である。

そもそも、漫画『クローズ』シリーズは、続編『WORST』までが正史。後に派生した作品を作者・高橋ヒロシ監修の元、作画は他の漫画家が執筆するというシステムを作り上げた先駆け的な作品なのだ。ずっと実写化を拒んでいた高橋ヒロシは、三池崇史監督による『クローズZERO』(2007)の構想に唸り、快諾。

それは、主人公・坊屋春道がヤンキーの聖地・鈴蘭高校に転入してくる一年前の原作では描かれていない空白の時期において、滝谷源治というオリジナルキャラを主人公として配置した物語であった。これには、公開当時、原作ファンたちからも、それやられたら、思わず納得と、拍手喝采が巻き起こった。

そして、残念なことに、そのパターンに安易に乗っかってしまったのが、本作なのである。

いや、乗っかってもいい。が、滝谷源治に比べて、鏑木旋風雄は、あまりに魅力がなさすぎる。どちらも一匹狼という設定だが、前者は好戦的で喧嘩を通して仲間が増えてくる気質に対して、後者は寡黙な人物であるが、喧嘩は強い。でも、野心はない。何のために鈴蘭に転入してきたのが、よくわからない中途半端な男なのだ。

また、本作に対し、声を大にして言及したいことは、前作に比べて喧嘩シーンに迫力がないということだ。前作で『クローズ』の原作ファンを唸らせたことで、ハードルが上がっていたことは分かるが、 どうしても前作を超える演出や気迫がないように感じてしまうのだ。

とはいえ、役者陣は奮闘している。どのキャストにも特有の「オーラ」があり、シーンが展開するにつれて、それがぶつかったり、結束したりするサマには思わず息を呑む。演出やシナリオに血が通っていれば…と悔やまずにはいられない一作だ。

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