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「天才すぎる」池松壮亮のスゴい演技が堪能できる映画(5)歯は抜け腕は折れ、顔中血まみれ…気迫の芝居に脱帽

text by 編集部

日本の映画界にいなくてはならない俳優の1人、池松壮亮。アンニュイな雰囲気と、捨てられた子犬のようなほっとけなさを感じさせ、過激な濡れ場や、影のある役を演じる上で右に出るものはいない。そして圧倒的な演技力で、観客のみならず、数々の映画監督をも虜にしてきた。今回は、そんな池松壮亮が出演した映画を5本セレクトして紹介する。

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歯は抜け、腕は折れ、顔中血まみれ…。
池松壮亮のカラダを張った気迫の芝居に圧倒される

『宮本から君へ』(2019)

池松壮亮
池松壮亮Getty Images

原作:新井英樹
監督:真利子哲也
脚本:真利子哲也、港岳彦
出演:池松壮亮、蒼井優、井浦新、一ノ瀬ワタル、柄本時生、星田英利、古舘寛治、佐藤二朗、ピエール瀧、松山ケンイチ

【作品内容】

文具メーカーの営業マンとして働く宮本浩(池松壮亮)は、不器用だが正義感が強い。ある日、会社の先輩の仕事仲間である中野靖子(蒼井優)と恋に落ちる。

靖子の家に招かれると、元彼の裕二(井浦新)が訪ねてくる。裕二を拒む靖子に、宮本は「この女は俺が守る」と言い放ち、2人は心から結ばれる。

しかし、宮本の取引先の息子で大学のラグビー選手・真淵拓馬(一ノ瀬ワタル)に靖子が強姦されてしまう。宮本は、復讐を誓い、自分より強い拓馬に立ち向かうのだが…。

【注目ポイント】

映画『宮本から君へ』の原作は、新井英樹によって週間漫画雑誌『モーニング』で連載された漫画。第38回小学館漫画賞青年一般部門受賞した話題作だ。

新卒で文具メーカーの営業マンになった主人公が、不器用ながらも恋や仕事を通して成長し、自分なりの生きざまを見つけていく物語である。2018年にドラマ化され、翌年2019年に映画が公開された。

映画版は、暴力・性暴力を扱うかなり過激な内容になっているため、気分を害する可能性のある方は見ないことをおすすめする。

だが、この映画に向き合った俳優陣は間違いなく、日本映画史に残る熱演を見せている。

靖子をレイプされた時の宮本は、取引先との飲み会に靖子を同席させ、日本酒を飲み干し、泥酔してしまう。そんな宮本を介抱する取引先の息子が、宮本と靖子を家に送り届けた時に、靖子に襲いかかる…。

上記のシーンは、観ているこちらまで胸糞悪く、思わず目を背けたくなるほどエグい。「靖子を守る」と誓ったはずの宮本が、その現場でグースカ寝ていることに腹を立てない者はいないだろう。

この時、靖子を演じた蒼井優の気持ちを考えるといたたまれない。実際に、蒼井は感情の起伏が激しくて撮影3日目でヘトヘトになったと語っている。

その後、靖子の身に起こったことを知る宮本は、拓馬に復讐に向かうが、簡単に殴り倒され、歯を折られ、血まみれになる。

ちなみに、前歯がポッキリと折られるシーンでは、本当に池松は歯を抜こうとしていたというから驚く。流石にそこまではしなくていいと監督に止められ、撮影は特殊なマウスピースをはめて再現した。

本作の池松壮亮は、不器用でアツい宮本と完全に動機しているように、内側から湧き出てくる感情が見える気がする。魂の叫びがスクリーンの向こう側から溢れてくる。他にこの技が成せる俳優がいるだろうか。

非常階段で拓馬と闘うシーンは、命綱をつけていたものの、きわめて危険なアクションに挑戦。とにかく全編を通して熱量が伝わってくる作品だ。

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