杉下右京を最も苦しめた犯人は? 『相棒』史上最強の敵キャラ(5)衝撃の闇堕ち…優秀な刑事が転落した理由は?
『相棒』シリーズは2000年から現在まで約400話のテレビシリーズを始め様々なコンテンツで親しまれている。今回は様々な犯人が登場する『相棒』シリーズで最も狂気に満ちたサイコパスの犯人を5名紹介していく。S4で精神科医の内田美咲(演:奥貫薫)の言葉「悪は人を魅了する」を踏まえ、彼等に少しだけ魅了されて欲しい。(文・Naoki)
元相棒 南井十
(演者:伊武雅刀)
イギリス国籍でスコットランドヤード元刑事。右京がスコットランドヤードで研修をした際に組んでおり、また3代目相棒甲斐享の逮捕で無期限停職となった際は”相棒”として逆五芒星事件を追っていた。現役時代は右京に匹敵する頭脳と相手の心を開かせる人心掌握術に長けていた優秀な刑事であった。
しかし長年組んでいたカワエという”相棒”を犯罪者により失った事で「この世には贖罪の心を持てない犯罪者がいる」と結論。以降は犯罪者に接触し理解者を演じて心を開かせて利用するだけ利用し最後は自殺させるという事を繰り返した。
彼は3度に渡り登場して特命係を苦しめてきた。初登場はS16「倫敦からの客人」
退職後の旅行で故郷である日本を訪れ、旧知の仲であった右京と談笑する。少年による父親殺害という事件には全く絡まず、登場は飲み屋で話す場面程度であった。だが犯人が逮捕後に自殺した事をキッカケに展開が変わっていく。
右京は過去に南井と捜査した犯人が次々と自殺していた事、彼の人心掌握術の高さを知っている事から彼の事件関与を疑う。しかし証拠は何も無く、南井はロンドンへ帰還してしまう。
2度目の登場はS17「倫敦からの刺客」
南井が子飼いにしている殺人鬼を日本へ送り込む。殺人鬼は南井の指示通りに”過去に人を殺したが裁かれていない者”を次々と殺してみせた。だがその被害者の中には南井と同じ孤児院で育った”兄弟”と呼んで差し支えない者もいた。
二人は幼少期に支援金目当ての劣悪な孤児院で育ち、南井は院長を毒殺していたのである。南井の真の目的は特命係にその事を知られない様、過去を知る”兄弟”の口封じであった。追い詰められた殺人鬼は南井の為に自殺。右京から連絡が来た南井は何も知らないと嘯き、近々来日する事を話す。
3度目の登場はS18「善悪の彼岸」
来日した南井はロンドンで右京と解決した逆五芒星事件を再現し始める。同行してきた娘同然の女性も死なせ、一般人も殺すなどこれまでと違い自身の手を汚す事も厭わなくなっていく。だが南井は確実に自身が実行犯にも関わらず「自分は捜査をしており犯人ではない」と主張。
そして右京と南井は直接対峙。結論、南井は老いによる認知症だった。老いの為、感情の制御ができず犯罪者への復讐心を理性で止められなかった。老いの為、自ら事件を起こし自ら捜査する愚行を理解できなかった。
天才的な頭脳が抑えられない感情で暴走して事件を起こすもスグに忘れる。事件が解決して残されたのは哀れな老人のみ…。南井は病院から抜け出し滝に身を投げ、遺体未発見だが岩肌への出血量を鑑みて死亡認定となる。
そんな南井の魅力は”人間としての悲哀”。
人間は誰しも老いる。老いると記憶が次々と失われていき、最後に残るのは一番大切な思い出だけ…。そんな南井の最後に残った思い出は”杉下右京との捜査”。
「右京ともう一度捜査をしたい」
その思い出に誘われるように南井は次々と事件を起こしていった。杉下右京と南井十はお互いに”相棒”を失った時期に再会してコンビを組んだ。つまり互いが互いを支えにして再度職場復帰ができるまでに至った。
二人は決して共に進む事はできないが、確かに”相棒”だった時期があった。老いのせいでその晩節を汚さざるを得なかった南井は本当に虚しい。だが、S22「惡の種」で4年ぶりに南井の生存が示唆された。
1件の殺人事件を追うと被害者は未解決事件の犯人という事が分かり、そして未解決事件の被害者もまた別の未解決事件の犯人という連鎖型殺人事件だと判明する。そして最後に手を下した犯人も自殺未遂を起こし昏睡状態に…。再び行われる東京逆五芒星事件、全てを裏で操る車椅子の男性、彼を父と呼ぶ謎の存在…。今後の『相棒』での二人の対決にも期待が高まる。
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