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実話の方がやばい…実在の殺人事件がモデルの日本映画(2)女子高生を虐殺、コンクリートに…公開中止の理由は?

text by 寺島武志

胸が張り裂ける感覚に陥る、重くて暗い「後味が悪い」映画。出演している役者に感情移入してしまうと、嫌悪感を抱くことも少なくはない。しかし、作品のモチーフとなった事件では、さらに残忍で恐ろしいものが数多く存在する。今回は、実話の方が怖い日本映画を5本、作品の魅力や俳優の迫力と共に、実際の事件も紹介する。(文・寺島武志)

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たった1週間で公開中止に追い込まれた問題作

『コンクリート』(2004)

高岡蒼佑【Getty Images】
高岡蒼佑Getty Images

上映時間:90分
監督:中村拓
原作:渥美饒兒
脚本:菅乃廣
キャスト:高岡蒼佑、小森未来、三船美佳、小林且弥、中谷彰宏、永澤俊矢、柘植亮二、間野健介、樋田洋平、斎藤悠、豊島侑也、宮田大三、町田政則、高柳さち子、沖直未、中務一友

【作品内容】

高校を中退した大杉辰夫(高岡蒼佑)はタイル張りの職に就き、恋人の佳代子(三船美佳)と同棲を始める。結婚を約束した2人だったが、辰夫は鑑別所送りになるなど荒んだ生活を送る。

辰夫はタイル張りの仕事を辞め、ヤクザの舎弟となり、尾崎弘明(小林且弥)、池田智巳(柘植亮二)らを束ね、「龍神会」を結成する。

しかし辰夫は、組に利用されているだけと知り、その苛立ちとシンナー中毒から次第に非行をエスカレートさせていく。ある日、辰夫は帰宅途中の女子高生・美咲(小森未来)をホテルに連れ込みレイプする。

事件の発覚を恐れた辰夫らは、美咲を池田の自宅に監禁。美咲への虐待はエスカレートし、その暴走は、やがて残酷な結末に向かう。

【注目ポイント】

昭和末期の日本を震撼させた東京都足立区綾瀬の「女子高生コンクリート詰め殺人事件」をモチーフとして執筆された渥美饒兒によるノンフィクション小説『十七歳、悪の履歴書』を原作に、撮影期間わずか5日で撮り上げたといわれている本作。撮影にあたって、事前に被害者の親族や関係者に取材や承諾を得ることも一切なく製作された。

当初2004年公開とされていたが、批判が相次ぎ、公開阻止運動が激化したため、たった1週間で公開中止に追い込まれ、その後、劇場の変更などを経て再公開されるという事態に至った。

実際の事件は、被害者の女子高生が暴行・強姦の末、死亡し、その死体をコンクリート詰めされ、東京湾に遺棄されるという残忍極まりないもの。本事件は立法府や司法をも動かし、少年法が改正される契機となった事件でもある。

そんな中、「週刊文春」は、被害者の実名・顔写真のみならず、逮捕された未成年者の少年たちを実名で報じ、日弁連から糾弾されたものの、その少年の家庭環境なども併せて報道することで部数を伸ばし、現在に至るまで売り上げ1位の週刊誌となっている。

実刑判決を受け、刑期を終えた元少年たちはその後、振り込め詐欺に手を染める者、暴力団員になる者、傷害事件を起こして再収監される者、覚醒剤で逮捕された者が相次ぎ、更生の難しさを証明している。

本作に先駆け、この事件をモチーフとした作品が製作されており、1995年に『女子高生コンクリート詰め殺人事件~壊れたセブンティーンたち~』、1997年に『少年の犯罪』がVシネマとして発売されたが、劇場公開作品ではなかったためか、『コンクリート』ほどの反発を受けることも話題になることもなかった。

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