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世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(2)異常な失速…地球全体から総スカンを喰らったのは?

text by 寺島武志

ヒーロー映画は老若男女に愛されるジャンルとして、人気の高いコンテンツだ。マーベルやDCコミックなど、人気のシリーズも数多く存在する中、大ヒットを目指すも、シリーズ最低興収や世間からの反感など、期待外れの結果となるものも少なくない。今回は、その中でも、大爆死と言われた史上最低のヒーロー映画を5本紹介する。(文・寺島武志)

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アベンジャーズ最強キャラの新作でも爆死

『マーベルズ』(2023)

主演のブリー・ラーソン
主演のブリーラーソンGetty Images

上映時間:105分
原題:The Marvels
製作国:アメリカ
監督:ニア・ダコスタ
脚本:ニア・ダコスタ、ミーガン・マクドネル、エリッサ・カラシク
キャスト:ブリー・ラーソン、テヨナ・パリス、イマン・ベラーニ、ゾウイ・アシュトン、ゲイリー・ルイス、パク・ソジュン、ゼノビア・シュロフ、モハン・カプール、サーガル・シェイク、レイラ・ファーザド、エイブラハム・ポプーラ、サミュエル・L・ジャクソン、テッサ・トンプソン、ダニエル・イングス、ヘイリー・スタインフェルド、ラシャーナ・リンチ、ケルシー・グラマー

【作品内容】

世界を守るキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)の前に、彼女が守るすべてを滅ぼそうとする謎の敵が現れる。1人ンでは太刀打ちできない危機が迫る中、モニカ・ランボー(テヨナ・パリス)とミズ・マーベル(イマン・ベラーニ)が現れる。

しかし、マーベルとモニカ、ミズの3人が入れ替わる謎の現象が起こってしまい、なかなか足並みが揃わないながらも、最強の敵を倒すべく、過酷な戦いに挑んでいく。

【注目ポイント】

ディズニー傘下のマンガ出版社「マーベル・コミック」のヒーローたちが活躍する「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の実写映画の1つである本作。

主役はアベンジャーズ最強ともいわれる女性ヒーロー「キャプテン・マーベル」とあって、アメコミファンからは期待感を持たせたものの、興行収入は2億ドルにも届かず公開当時のMCU歴代最低に終わる。2019年に公開された『キャプテン・マーベル』が11億ドルと比較しても、異常ともいえる失速ぶりだ。

メインキャラが女性のみという、多様性に富んだ作品となったが、脚本やアクションシーン含めて少し物足りなさがあったのは確かだ。特に挙げられるのは敵キャラ「ダー・ベン」の弱さだろう。

アベンジャーズ最凶の敵であるサノスとの激闘を見守ってきたマーベルファンからすると、正直、ダー・ベンにそれ以上の脅威を見出すのは難しく、役不足感は否めない。さらに、ダー・ベンの自滅によって決着がつくという煮えきらない展開も、観客に欲求不満を抱かせた要因の一つに違いない。

本作の出来には、マーベル社のみならず、親会社であるディズニーのボブ・アイガーCEOも辛辣に批判。

メガホンを取った黒人女性監督のニア・ダコスタは、テレビ局のADから身を立てた叩き上げで、映画監督としては『リトル・ウッズ』(2018)や『キャンディマン』(2021)とヒット作を製作していることから前評判が高かったものの、その期待に応えられなかった形となってしまった。

失敗の理由は、米俳優のストライキにより、PRツアーに出られなかったことが要因だったともいわれているが、観客側の“スーパーヒーロー疲れ”や、MCUの方向性の欠如、2024年公開予定の『デッドプール3』などの期待作が公開される直前での公開というタイミングの悪さなど、複合的な理由によるものだろう。

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