ホーム » 投稿 » 5選記事 » 海外映画 » 世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(4)地獄の黒歴史…ファンが怒り狂った改変とは?

世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(4)地獄の黒歴史…ファンが怒り狂った改変とは?

text by 寺島武志

ヒーロー映画は老若男女に愛されるジャンルとして、人気の高いコンテンツだ。マーベルやDCコミックなど、人気のシリーズも数多く存在する中、大ヒットを目指すも、シリーズ最低興収や世間からの反感など、期待外れの結果となるものも少なくない。今回は、その中でも、大爆死と言われた史上最低のヒーロー映画を5本紹介する。(文・寺島武志)

————————————–

原作改変によってファンからブーイングを浴びた

『聖闘士星矢 The Beginning』(2023)

新田真剣佑
新田真剣佑Getty Images

上映時間:114分
原題:Knights of the Zodiac
製作国:日本
監督:トメック・バギンスキー
原作:車田正美
脚本:ジョシュ・キャンベル、マット・ストゥーケン、キール・マーレイ
キャスト:新田真剣佑、ファムケ・ヤンセン、マディソン・アイズマン、ディエゴ・ティノコ、マーク・ダカスコス、ニック・スタール、ショーン・ビーン

【作品内容】

幼少時に姉と生き別れになった星矢(新田真剣佑)は、スラム街の地下格闘場で戦う日々を過ごしている。ある日、戦闘の最中に突如未知のパワーを身につけた星矢は、それが原因で謎の組織から命を狙われるようになる…。

【注目ポイント】

車田正美による、世界累計5000万部を超える、日本を代表するマンガ作品『聖闘士星矢』。

その独特の世界観は、大人も子どもも夢中にさせ、マンガにとどまらず、アニメはもちろん、ゲーム化されたソフトやパチンコ・パチスロ台も大ヒット。小説やミュージカルの題材にもなった。

しかし、長らく実写映画化の噂は浮上しては消えていた。おそらくはこの世界観を実写で表現することは不可能であると、ファンも版権を持つ集英社も考えていたのだろう。

しかし、本作の実写化に果敢に挑戦する者が現れる。声を上げたのはハリウッドからだった。

CGアニメを数多く手掛けたトメック・バギンスキーがメガホンを握り、主演の星矢には新田真剣佑を抜擢。

東映アニメーションが出資し、ソニー・ピクチャーズのアメリカの映画製作レーベル「ステージ6フィルムズ」との共同製作なのだが、実質上、ハリウッド版アメリカ映画として製作されている。

新田が演じた星矢は、その内面を含めて描かれ、古くからの原作ファンからはおおむね好評だったものの、肝心のアクションシーンのCGは、他の作品と変わらないクオリティーで、差別化を図る試みは見られなかった。さらには原作からのシナリオの改変も、ファンからブーイングを浴びた一因となった。

興行収入も振るわず、日本国内で約1億2000万円、北米で110万ドル、中南米で436万ドル、ヨーロッパで114万ドルの“爆死”ぶり。本作の赤字は35億7600万円にも達し、東映アニメーションの同年の営業利益は49%減という、会社存続にも関わる数字を計上してしまう。

本作自体、ファンから見れば、マンガの『聖闘士星矢』の内容とはかけ離れているだけに、ハリウッド版は全くの別物として認識しているのだが、タイトルに「聖闘士星矢」の文言が入ったばかりにマイナスイメージが付いて回り、本作の“黒歴史”となってしまった作品だ。

【関連記事】
世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(1)
世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(5)
世紀の大爆死…最悪のヒーロー映画は? 迷走した失敗作(全作品紹介)

error: Content is protected !!