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『世にも奇妙な物語』史上最も泣ける神回は? 涙腺崩壊の感動作(5)クローンに魂はあるか? 重厚な近未来SF

text by 編集部

1990年の放送開始以来、根強い人気を誇る『世にも奇妙な物語』。これまでに放送されてきた物語は500話をとうに超え、岩井俊二や三谷幸喜など、今をときめく名クリエイターたちが参加してきたことでも知られている。今回は、30年にも及ぶ同番組の歴史の中から、”感動エピソード”を5本紹介しよう。(文・編集部)

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クローンに魂はあるか?
重厚なテーマを扱った近未来SF

『走馬灯のセトリは考えておいて』(2023/主演・西野七瀬)

主演の西野七瀬【Getty Images】
主演の西野七瀬【Getty Images】

放送:2023年11月11日(秋の特別編)
演出:岩田和行
原作:柴田勝家(『走馬灯のセトリは考えておいて』)
脚本:嶋田うれ葉
出演:西野七瀬、朝加真由美、利重剛、七海うらら

【作品内容】

ライフログ技術が進化し、個人の死後にライフキャスト(クローン)の製造が可能になった未来。ライフキャスターの小清水イノリ(西野七瀬)は、50年以上前に人気を博したバーチャルアイドル黄昏キエラ(七海うらら)の“中の人”である柚崎碧(朝加真由美)からライフキャストの依頼を受ける。しかし、ライフキャストの制作を進めていくうちに小清水は、キエラの中身が別の人であったことを知ることになる…。

【注目ポイント】

最後に、比較的最新の放送から取り上げよう。

本作は、2023年放送の「秋の特別編」の中の一編。原作は柴田勝家の同名小説で、主人公の小清水イノリを西野七瀬が演じる。

近年、「デジタルクローン」と呼ばれる技術の開発が進んでいる。これは、個人にまつわるデータをAIに学習させ、私たち自身の意思をクラウド上にアップロードしたものだ。本作に登場する「ライフキャスト」も、この手のクローンと似たものだろう。

本作の主人公のイノリは、当初「クローンは魂の抜けた人形にすぎない」として、ライフキャスターの職を辞そうとしている。しかし、そんな彼女の考えが、余命いくばくもない柚崎との出会いを通して変わっていく。

クローンの心身問題や虚構と現実のあわいを生きるVTuberなど、今までにないほど重厚なテーマが絡み合っている。しかしその根底にあるのは、「身近な人の死」というとても普遍的なテーマだ。

柚崎が「黄昏キエラ」として、そして小清水の亡き父が新たな父として生まれ変わり、第二の人生を歩もうとしている姿は、視聴者に不思議な感動を呼び起こすとともに、他者の心に触れられないというもどかしさを感じさせるに違いない。

なお、本作に登場した黄昏キエラは、実在のVTuberである七海きららが演じている。作中のライブシーンなどはYouTubeにアップされているので、是非確認してもらいたい。

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