今なら確実に炎上…! 当時は大絶賛・実は問題だらけの名作映画(4)猫に日本人…トラウマ級の大侮辱が恐ろしい
近年、映画業界では差別や偏見を無くす動きが加速。それ自体は無条件に喜ばしい事態であるが、昨今はポリコレを意識しすぎて、逆に視聴者の共感を生むことが難しくなっている傾向もある。しかし、以前はそんなことを気にせず製作された作品が多く存在した。今回は、そんな現代では批判を喰らいそうな作品を5本紹介する。(文・高梨猛)
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オードリー・ヘップバーンの代表作
公開当時から物議を醸した日本人の描き方
『ティファニーで朝食を』(1961)
上映時間:115分
原題:Breakfast at Tiffany’s
製作国:アメリカ
監督:ブレイク・エドワーズ
脚本:ジョージ・アクセルロッド(英語版)
原作:トルーマン・カポーティ
出演者:オードリー・ヘプバーン、ジョージ・ペパード、パトリシア・ニール
【作品内容】/
オードリー・ヘップバーンの代表作ともいわれるロマンティック・コメディ。ニューヨークで様々な男性からお金を受け取りながら自由奔放に暮らすホリー(オードリー・ヘップバーン)のアパートに、売れない作家のポール(ジョージ・ペパード)が引っ越してくる。
ホリーは玉の輿を狙って大富豪に近づいたり、大金持ちの男性と結婚して南米で暮らすと言い出すなど、自由気ままな言動を繰り返すが、ポールはそんなホリーに惹かれていく。監督は都会派コメディの名手、ブレイク・エドワーズ。
【注目ポイント】
ヘップバーンのチャーミングな魅力と洗練されたファッション、そしてヘンリー・マンシーニによる主題歌『ムーン・リバー』で、現代のオシャレ女子にもファンが多い名作だが、その設定はわりと際どい。
ヘップバーンが演じるホリーは性に奔放なコールガール。そんな彼女のお相手・ポールは小説家の卵であるが、マダムと愛人契約を結んでいるヒモ男だ。
とはいえ、キャラクター設定自体に問題があるわけではない。むしろ、既存の価値観にとらわれずに、自由奔放に生きる主人公の振る舞いはきわめて先進的であり、その点、今の若者にも受け入れられる作品となっている。
一方、本作には現代から見ると、引っ掛かりを覚える描写が多数ある。
ホリーと同じアパートに住む日本人カメラマン「Mr.ユニオシ」は、アメリカ人俳優としては小柄なミッキー・ルーニーが演じ、黒縁メガネに出っ歯という蔑視的なルックスで、公開時から物議を醸した。
ユニオシは劇中では完全にギャグ要員で、飛び起きて提灯に頭をぶつけたり、豆しぼりを巻きながら熱い風呂に入るなど、独りドタバタコントを繰り広げており、それが本筋とはほとんど関係ないことも槍玉に挙げられる要因だろう。
また、物語終盤には主人公・ホリーが飼い猫を雨の街角に捨てていく描写がある。その後、猫は紆余曲折あって主人公のもとに戻ってくるとはいえ、タクシーに乗ったヘップバーンが「タフなんでしょ、ここで暮らすといいわ」と告げ、猫を路上に置いて去っていくシーンは、愛猫家からするとトラウマもの。
映画が公開された1960年代前半は、現在に比べて動物愛護の意識が著しく低かったわけだが、もしこれが現代の作品だったら、炎上は免れなかっただろう。
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