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「W杯が10倍楽しめる!?」最高のサッカードキュメンタリー映画(2)。ミスすれば殺害予告も…裏側を追った傑作とは?

text by 寺島武志

ピッチを駆けまわる選手、プレーを見つめる監督、サポーターなど、複数のドラマが交錯するサッカーは、度々映画の題材になってきた。今回は、サッカーを通じて世界が抱える社会問題への考えが深まる、ドキュメンタリー映画をご紹介。FIFAランキング最下位チームにフォーカスした作品など、個性あふれるラインアップが出そろった。(文・寺島武志)

ミスすれば殺害予告も…。
名レフェリーを追った傑作ドキュメンタリー

『レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏』(2009)


出典:Amazon

原題:LES ARBITRES
製作国:ベルギー
監督:イヴ・イノン、エリック・カルド、デルフィーヌ・ルエリシー

【作品内容】

ヨーロッパのベストレフェリーに選出されたこともあるハワードウェブGetty Images

サッカーの試合におけるレフェリーの視線でサッカーの裏側を追ったドキュメンタリー。ヨーロッパのベスト・レフェリーに選出されたイングランドのハワード・ウェブが、2008年の欧州選手権の試合で下したジャッジが巻き起こした騒動を映し出す。選手だけでなく、陰で支える存在であるレフェリーという存在にスポットライトを当てた内容が興味深い。

主審と副審の間のインカムマイクではどんな会話がされているのか? 主審は選手たちに対してどのような声かけをしているのか? 副審や4審判は試合中どのような役割を果たしているのか? そういったサッカーの舞台裏が明かされている。

毅然とした態度で一つひとつのジャッジを下す審判だが、時には自分の判定に対して弱気になる主審を副審はインカムを通して励まし続ける。

ゲーム終了後は審判たちは重苦しい緊張から解放される。しかも、4年ことに開催される欧州選手権の審判団のプレッシャーは、想像以上であることが見て取れる。ジャッジミスをすればその判定によって不利な状況に追い込まれた国民から非難を浴びる上、殺害予告までされる。

こういったところが、サッカー審判員にして、同作の主演でもあるウェブに「プレッシャーの中でも高いレベルが求められるんだ。ミスは許されない」という言葉を吐かせるのだろう。

試合に臨む選手よりも、高いプレッシャーの中で務めていることが分かるという意味おいて、より奥深くサッカーを知る上で必見の作品である。

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