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棒読み演技がヤバい…批判浴びた大失敗「有名人声優」(3)洋画にコテコテ関西弁…ファンが怒り狂ったのは?

text by 寺島武志

映画は様々な要素が絡み合って一本の作品になる。そのどれが欠けても成立しないのだ。しかし残念なことに、たった一つのミスで台無しになってしまう作品が存在する。中でも映画を形作る俳優や声優は、作品の良し悪しを大きく左右する。そこで今回は、芸能人が声優を務めて失敗した映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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完全なミスキャストでファン失笑

岡村隆史『LIFE!/ライフ』(2013)

岡村隆史
岡村隆史Getty Images

上映時間:114分
原題:The Secret Life of Walter Mitty
製作国:アメリカ
監督:ベン・スティラー
原作:ジェームズ・サーバー
原案・脚本:スティーブ・コンラッド
キャスト(吹き替え):ベン・スティラー(岡村隆史)、ショーン・ペン(山路和弘)、クリステン・ウィグ(三石琴乃)、シャーリー・マクレーン(沢田敏子)、アダム・スコット(花輪英司)、パットン・オズワルト(吉見一豊)、キャスリン・ハーン(鯨エマ)

【作品内容】

雑誌「LIFE」の写真管理部で働く臆病な男・ウォルターは、変化のない日々を過ごしていた。そんな彼の唯一の楽しみは、空想することだった。

だがそんなある日、LIFE誌が廃刊になることが決まる。長くLIFEの代表的なカメラマンを務めた冒険家のショーンは、最終号にふさわしい「25番目のフィルム」があるというが、フィルムにはそれがかけていた。

そこでウォルターは、「25番目のフィルム」の在り処を知るはずのショーンを探すため、ニューヨークを飛び出す。

【注目ポイント】

ベン・スティラーが監督と主役を務め、1939年に著されたジェームズ・サーバーの短編小説『ウォルター・ミティの秘密の生活』を原作としている。

雑誌『LIFE』の編集部で、写真管理の仕事をしていた真面目ながらも臆病で不器用なウォルター・ミティ(ベン・スティラー)が、あるネガの喪失をきっかけに、予測不能の冒険の渦に巻き込まれていくというコメディー活劇だ。

ベン・スティラー演じる主人公・ウォルターの日本語吹き替えに抜擢されたのは、岡村隆史。他キャストが本業の声優陣で固められていた中で、異例の起用といっていいだろう。

映画やドラマの出演経験も豊富で、映画では『踊る大捜査線』シリーズ、ドラマでは、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』の菊丸役で、存在感ある演技を見せている。

しかし、岡村の起用は大きな反発を生む。監督・脚本もこなし、コメディ映画に数多く出演してはいるが、二枚目俳優としての顔も持つベン・スティラー。その声に指名されたのがお笑い芸人の岡村だったことだけでも違和感があったことに加え、日本語吹き替え版のウォルターがコテコテの関西弁を話していることに、ファンは戸惑いを通り越して、怒りの声を上げた。

この時期、有名タレントが声優に挑戦することがトレンドでもあり、岡村起用もその波に乗ってキャスティングされたと思われるが、人生を考えさせるストーリーであるにも関わらず、その声に芸人を起用し、関西弁で演じさせるというミスキャストは、映画ファンや評論家から失笑を買う。

2010年、精神面の不調により、約5か月の休養を経験した岡村は、ウォルターの生き方に自分を重ね合わせ、スティラーからの直々のオファーを快諾したというが、結果、炎上してしまう。

関西弁だったこと以外、アフレコ自体には何の問題もなかっただけに皮肉としか言いようがない。

その後、洋画専門CS放送「ザ・シネマ」が2019年に本作を放映する際、ウォルター役にベテラン声優の堀内賢雄に起用し、再録している。

岡村はその後、2023年のNHKアニメ『おしりたんてい×チコちゃんに叱られる』で本人役として声の出演をしている。今後は自身の個性に合致する作品に巡り合い、声の仕事でも視聴者を驚かせてほしい。

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