棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(4)意味不明な起用…名作をぶち壊した配役ミスは?
映画は様々な要素が絡み合って一本の作品になる。そのどれが欠けても成立しないのだ。しかし残念なことに、たった一つのミスで台無しになってしまう作品が存在する。中でも映画を形作る俳優や声優は、作品の良し悪しを大きく左右する。そこで今回は、芸能人が声優を務めて失敗した映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)
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大人気シリーズが台無しに
DAIGO『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)
上映時間:147分
原題:Mission:Impossible-Fallout
製作国:アメリカ
監督・脚本:クリストファー・マッカリー
原作:ブルース・ゲラー
キャスト(吹き替え):トム・クルーズ(森川智之)、ヘンリー・カヴィル(DAIGO)、ヴィング・レイムス(手塚秀彰)、サイモン・ペッグ(根本泰彦)、レベッカ・ファーガソン(甲斐田裕子)、ショーン・ハリス(中尾隆聖)、アンジェラ・バセット(高島雅羅)、ヴァネッサ・カービー(広瀬アリス)、ウェス・ベントリー(松本忍)、フレデリック・シュミット(遠藤大智)、ミシェル・モナハン(岡寛恵)、アレック・ボールドウィン(田中正彦)
【作品内容】
盗まれたプルトニウムを用いて、3つの都市を破壊するというテロ計画が発覚。
事件は秘密組織「シンジケート」の残党が結成した「アポストル」が関与しているという情報を掴んだイーサン・ハント(トム・クルーズ)は、ジョン・ラークという犯人の名前だけを手掛かりに、プルトニウム奪還という不可能と思われる困難なミッションに挑む。
【注目ポイント】
1996年に第1作が公開され、世界中で大ヒット。以降、2023年公開の『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』まで7作が製作、さらに2025年、シリーズ第8作の公開が決定している人気シリーズ。
その原点は、1960年代後半からアメリカで放送され、日本でも人気だったテレビドラマ『スパイ大作戦』だ。
本作は、パリを舞台とするシリーズ第6作。
前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)から本シリーズの監督を務めることになったクリストファー・マッカリー監督のメガホンにより、華麗なアクションがこれでもかと披露される。撮影中に骨折しながらも不屈の精神で演じてみせたトム・クルーズの役者魂も見どころで、“シリーズ最高傑作”の呼び声も高い。
トム演じるイーサン・ハントは任務の中で、回収目前のプルトニウムを「アポストル」に奪われてしまう。イーサンの行動に不信感を抱いたCIAは、監視役として送り込んだのがヘンリー・カヴィルが演じる敏腕エージェント、オーガスト・ウォーカーで、その日本語吹き替えを担当したのがDAIGOだ。
3人組ロックバンド「BREAKERZ」のボーカルとしてのミュージシャンの顔よりも、「うぃっしゅ!」と叫びながらポーズを取ったり、“DAI語”と呼ばれる独特の略語、加えて、竹下登元首相の孫というサラブレッドの家系で注目を浴び、MCやバラエティータレントとして広く認識されているDAIGO。
俳優としても映画やドラマにも出演し、アニメの声優としても、『名探偵コナン 漆黒の追跡者』(2009)に出演しており、洋画の日本語吹き替えも、『ウォンテッド』(2008)、『きかんしゃトーマス 探せ!!謎の海賊船と失われた宝物』(2015)で、本作出演の前に経験済みだ。
しかし、『ウォンテッド』でのセリフ回しが酷評されていたことから、本作での起用がアナウンスされるやいなや、一斉に不安と不満の声が上がる。
いくらDAIGOが本シリーズの大ファンで、全作鑑賞しており、思い入れがあるからといっても、作品のファンから批判を浴びるのはある意味で当然の流れだったのかもしれない。
そして公開を迎えると案の定、「DAIGOの棒読みセリフで作品が台無し」「トムは最高なのに興醒め」「DAIGOがDAIGOを演じているようで、全く作品に溶け込んでいない」といった声がSNSに溢れ、炎上する。
話題性を優先したDAIGOの抜擢は、ファンの支持を得られず、キャスト、スタッフ、ファンの誰も得をしない典型的なミスキャストとして記憶されることになる。
しかし、DAIGOは、ヘンリー・カヴィルのイメージに少しでも近付くため、ボイストレーナーのもと、試行錯誤を重ね、収録に臨んでいた。過去の失敗から学び、本人なりに努力していたのだ。
その努力の甲斐あって、「前よりはだいぶ成長した」という評価も受け、製作側からも好評だったという。DAIGOは自らに課された“ミッション・イン・ポッシブル”を果たしてみせたのだ。
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