ホーム » 投稿 » 5選記事 » 日本映画 » 棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(5)悪夢…最強演技派アイドルとジブリの黒歴史は?

棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(5)悪夢…最強演技派アイドルとジブリの黒歴史は?

text by 寺島武志

映画は様々な要素が絡み合って一本の作品になる。そのどれが欠けても成立しないのだ。しかし残念なことに、たった一つのミスで台無しになってしまう作品が存在する。中でも映画を形作る俳優や声優は、作品の良し悪しを大きく左右する。そこで今回は、芸能人が声優を務めて失敗した映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

—————–

演技派トップアイドルの黒歴史

岡田准一『ゲド戦記』(2006)

岡田准一【本人のInstagramより】
岡田准一本人のInstagramより

上映時間:115分
英題:Tales from Earthsea
製作国:日本
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K・ル=グウィン
原案:宮崎駿
脚本:宮崎吾朗、丹羽圭子
キャスト(声優):岡田准一、手嶌葵、菅原文太、田中裕子、香川照之、風吹ジュン、内藤剛志、小林薫、夏川結衣、倍賞美津子

【作品内容】

世界を住み分けた魔法使いと竜。しかし魔法使いの世界に竜が現れたり、魔法使いは魔法の力を失ってしまうなど、世界の均衡が失われつつあった。

原因を探る旅に出かけたハイタカ(別名ゲド)は、精神を病み国王である父を刺して国から逃げ出したエンラッド王国の王子アレンと出会い、共に旅をすることになる…。

【注目ポイント】

巨匠・宮崎駿監督の長男・宮崎吾朗の監督デビュー作。

父による絵物語『シュナの旅』を原案とし、父の右腕だった鈴木敏夫をプロデューサーに迎えるなど、“七光り”ぶりを存分に活用したものの、父からは製作途中にも関わらず、「今からでも吾郎を降板させて、俺に監督をさせろ!」と言われ、さらに完成試写を観た原作者のル=グウィンからは、「私の本ではない」と吐き捨てられる始末。

興行収入78億円を記録したものの、その反応は芳しいものではなく、多くの映画評論家や映画誌からも酷評された。

主人公の声優に抜擢されたのは、当時、アイドルグループ「V6」最年少の26歳だった岡田准一。2003年、『COSMIC RESCUE(コスミック・レスキュー)』で、V6のメンバーとともに映画初主演。

さらに同年、人気ドラマ『木更津キャッツアイ』を映画化した『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』で単独での映画初主演を果たしており、自身の出世作となった。

その後、数々の映画、ドラマの主演を務め、2014年にはついに、『軍師官兵衛』で大河主演俳優となる。昨年末にSMILE-UPを退社したものの、旧ジャニーズ出身タレントの中では、その演技力を高く評価されている1人だ。

しかし、ここまで本作が酷評されたのは、作品自体のクオリティーだけではなく、声優の力量も関係しているという指摘もある。主な登場人物の声を担当したのは揃って有名俳優。つまり「プロの声優」がほぼいないのだ。

これらをキャスティングしたのは、プロデューサーの鈴木敏夫。鈴木は、プロの声優の演技は芝居臭く、ジブリ作品には合わないと考えている節があり、その姿勢は、オスカー受賞作『君たちはどう生きるか』(2023)でも貫かれている。キャラクターの声質よりも話題性を優先しているかどうかはともかく、そう受け取られてもおかしくない方針ではある。

『ゲド戦記』は、作品そのものの評価が厳しかったせいで、その矛先は声優にも向くこととなる。「セリフ回しが棒読み」といった批判が飛び交い、トップアイドルの岡田には特に厳しい声が投げ付けられる。

しかし5年後、名誉挽回の機会が訪れる。宮崎吾朗監督から、『コクリコ坂』(2011)の準主役のオファーを受け、同作は日本アカデミー賞で「最優秀アニメーション作品賞」を受賞するなど、国内外で高く評価され、岡田は宮崎吾朗とともに、見事に汚名をそそいでみせた。

【関連記事】
棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(1)
棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(2)
棒読み演技がヤバい…批判浴びた最悪の大失敗「有名人声優」(全作品紹介)

error: Content is protected !!