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大爆死から一転、大絶賛! 公開当時大コケした名作日本映画(2)壊滅的爆死から…200億円を生んだのはなぜ?

text by 寺島武志

人々の心に残り続ける名作映画が、必ずしも評価されていたというわけではないことをご存じだろうか。今では名を知らぬ者はいない世界の巨匠・北野武や宮崎駿も、公開時に大コケしてしまった過去を持つ…。それも意外な作品でだ。そこで今回は、公開時は大コケしたものの後に絶賛された日本映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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発表当時はまったく売れず口コミで再評価の気運が高まる

『呪怨 ビデオ版』(2000)

栗山千明【Getty Images】
栗山千明Getty Images

上映時間:92分
監督・脚本:清水崇
監修:高橋洋
キャスト:柳ユーレイ、栗山千明、三輪ひとみ、三輪明日美、小山僚太、藤貴子

【作品内容】

小学校教諭の小林(柳ユーレイ)は、不登校の生徒・佐伯俊雄(小山僚太)を気にかけている。小林は家庭訪問のために、俊雄の自宅に電話をするもつながらず、保護者と連絡をとることができない。そんな中、小林は俊雄の母の名前が伽椰子(かやこ)であることを知ると、大学時代の知人のことを思い出す…。

【注目ポイント】

本作は元々、東映ビデオからVシネマとして発売された作品だったが、続編の『呪怨2』(2000)ともども全く売れなかった。しかし、日本国内のホラー好きの間でその怖さが口コミで広がり、2003年、キャストを新たにし、設定と展開をアレンジした映画版が公開される。

ビデオ版の売れ行きが壊滅的だったのもあり、東映ビデオは映画版の制作には関与せず、日活を含めた4社が製作に名を連ねる形で製作された映画版2部作(『呪怨』『呪怨2』)は単館系ながらもスマッシュヒットを記録。Jホラーの歴史を踏まえた日本的なジメジメとした怖さと斬新な恐怖演出は海外の目にとまり、2004年にはハリウッドリメイク版の『THE JUON/呪怨』が公開されるまでに。

ハリウッドリメイク版の『THE JUON/呪怨』は製作費約1000万ドルに対し、興行収入は全世界で約1億870万ドルを稼ぎ出す。この数字は、ホラー大作『フレディVSジェイソン』(2003)に比肩するものだ。ビデオ版の爆死からハリウッド映画化、世界的大ヒットまでわずか4年。まさにシンデレラストーリーである。

リメイク版の世界的ヒットに伴い、本作のビデオ版も再評価が進む。監督の清水崇はその後、ジャパニーズホラーの第一人者として、『犬鳴村』(2020)、『樹海村』(2021)、『牛首村』(2022)の「実録!恐怖の村シリーズ」3部作や、白濱亜嵐、片寄涼太らGENERATIONS from EXILE TRIBEを総出演させた上で、ホラーを描いた『ミンナのウタ』(2023)など、精力的に製作活動を続けている。

ちなみに、名前は「崇(たかし)」なのだが、あまりにもホラー作品を作り過ぎたせいか、時折、「祟(たたり)」と誤って記されることも多いと、本人がエピソードとして語っている。

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