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大爆死から一転、大絶賛! 公開当時大コケした名作日本映画(3)衝撃の赤字も…世界絶賛のキタノブルーとは?

text by 寺島武志

人々の心に残り続ける名作映画が、必ずしも評価されていたというわけではないことをご存じだろうか。今では名を知らぬ者はいない世界の巨匠・北野武や宮崎駿も、公開時に大コケしてしまった過去を持つ…。それも意外な作品でだ。そこで今回は、公開時は大コケしたものの後に絶賛された日本映画を5本セレクトして紹介する。(文・寺島武志)

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「21世紀に残したい映画100本」も公開当時は大コケ

『ソナチネ』(1993)

北野武監督作「ソナチネ」のワンシーン
北野武監督ソナチネのワンシーンGetty Images

上映時間:94分
監督・脚本・編集:北野武
キャスト:ビートたけし、寺島進、大杉漣、勝村政信、国舞亜矢、渡辺哲、逗子とんぼ、矢島健一、南方英二

【作品内容】

広域暴力団・北島組と友好関係にある中松組が、沖縄を拠点にする阿南組と抗争になった。北島組の組長である北島と幹部の高橋(矢島健一)は、北島組の傘下にいる村川組の組長・村川(ビートたけし)に中松組に手を貸せと命じる。

村川は過去に抗争で若い衆を失ったことから乗り気ではなかったものの、北島(逗子とんぼ)の「手打ちで終わる」という言葉を信じ、組員とともに沖縄へ向かうのだった…。

【注目ポイント】

北野武がビートたけしとして主演も兼ねた、自身の監督第4作で、沖縄のヤクザの抗争に助っ人として送り込まれた主人公が激しい戦いに巻き込まれていく姿を描いた、バイオレンス色の濃いヤクザ映画。

美しい沖縄の砂浜を背景に、死に向かうことがわかっている男たちの、その日が来るまでの日々を描き、青を基調としたそのビジュアルは、「キタノブルー」と呼ばれ、その美しさは、特に海外で評価される。キャストも寺島進や大杉漣、勝村政信などの実力派がキャスティングされ、その迫力と哀愁が入り混じった演技にも注目が集まった。

1994年のロンドン映画祭やカンヌ国際映画祭(こちらは1993年に出品)で反響を呼び、英国BBCからは「21世紀に残したい映画100本」に選出され、「キタニスト」として知られる北野作品のファンを世界中に生み出した作品でもある。

しかし本作は、製作費5億円に対し、国内の興行収入は8000万円。“爆死”と呼ばれても致し方ない数字だ。

後に北野は、「これを最後の作品にするつもりだった」と明かし、最も思い入れのある作品であることも併せて述べている。

1989年に主演も兼ねた『その男、凶暴につき』で映画監督デビューを果たした北野だったが、同作以降、『3-4X10月』(1990)、『あの夏、いちばん静かな海。』(1991)も興行的には成功したわけではなかった。

しかし本作が海外で評価されたことで、北野は映画製作を続行。カンヌの常連となっただけではなく、1997年のヴェネツィア国際映画祭では、『HANA-BI』(1997)が最高賞の金獅子賞を受賞したことによって、初期の作品である本作も再注目され、“北野作品最高傑作”との評価を得ることになる。

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