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大河ドラマで“主役を食った”名脇役は? スゴい演技を披露した俳優(3)壮絶処刑がつらい…号泣の磔シーンとは

text by 寺島武志

日本ドラマ作品の代表格であるNHK大河ドラマ。主人公の人生と歴史のうねりを1年かけて描く壮大なドラマは、脇役にも若手実力派から往年のベテランまで幅広く起用。中には主役に匹敵するほどの名演技を見せる者も。今回は歴代大河ドラマの中で、視聴者の脳裏に焼きついた名脇役5人をセレクト。作品の魅力とともに紹介する。(文・寺島武志)

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壮絶な最期にロス続出
大河ドラマ史に残るラブシーン

『おんな城主 直虎』高橋一生(小野政次)

高橋一生
高橋一生Getty Images

放送期間:2017年1月8日~12月17日
脚本:森下佳子
最高視聴率:16.9%
キャスト:柴咲コウ、三浦春馬、柳楽優弥、菅田将暉、阿部サダヲ、菜々緒、宇梶剛士、春風亭昇太、ムロツヨシ、尾上松也、杉本哲太、財前直見、前田吟、小林薫

【作品内容】

戦国時代、井伊家当主・井伊直盛には後を継ぐ男子がいなかったため、一人娘・おとわと分家の嫡男・亀之丞を婚約させ、亀之丞を次の当主にするつもりだったが、井伊家を実質的に支配していた今川家から謀反の疑いをかけられ、亀之丞の父が殺害されてしまう。

亀之丞も逃亡し、おとわは出家する。その後、亀之丞が帰還し、元服して井伊直親となり、井伊家の将来は安泰かに見えた。しかし、度重なる戦で直盛ら井伊の男子が次々と亡くなり、ついには直親も命を落とす。

残された男子は直親の嫡男・虎松(後の井伊直政)のみとなる。この窮地を救うため、おとわは還俗して「井伊直虎」と名乗り、女城主として井伊家を支えていく。井伊家の発展への礎を築き、戦国を生き抜いた女の激動の生涯を描いていく。

【注目ポイント】

『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004・TBS系)や、『ごちそうさん』(2013・NHK)といった人気ドラマを手掛けた森下佳子の脚本により、歴史的資料の少ない井伊直虎という人物を森下独自の筆致で埋め、そのエンタメ色の濃いストーリーは、時代劇の枠を超え、若い世代にも受け入れられ、2017年の「#Twitterトレンド大賞」のドラマ部門で1位を獲得した。直虎を演じた柴咲コウの凛とした演技も高評価を得た。

そんな中、注目されたのは、井伊家筆頭家老・小野政直の子の小野政次を演じた、高橋一生。「鶴丸」として生まれ、直虎が「おとわ」という名だった頃からの幼なじみだったが、今川家と通じ、井伊家からは裏切り者扱いを受け、直虎とも対立。

さらに近藤康用の罠によって囚われの身となり、「俺一人の首で済ますのが最も血が流れぬ」と一人ですべての罪を被り、磔の刑に処される。その思いを汲んだ直虎が槍を左胸に突き刺し、政次は裏切り者を演じ切ったまま絶命する。

この処刑シーンは、大河ファンの中では“大河史上に残るラブシーン”とまで評された。井伊家を守るために壮絶な最期を迎えた政次。放送直後からネット上で“政次ロス”を嘆く声が続出し、直虎の決断にも涙する声が相次いだ。

本作出演時、30代中盤だった高橋。遅咲きのブレークにも思われそうだが、舞台や映画、声優に至るまで幅広い役柄を経験し、その演技力は確かなものだ。その人気は留まるところを知らず、小野政次追悼緊急特盤CD&フォトブック『鶴のうた』が発売されるまでに至る。

大河史上、脇役がこれほどまでにクローズアップされた例は少ない。直虎演じる柴咲を光らせ、自らも光った名脇役ぶりによって、高橋の芸能人生は大きく変わり、現在では映画界、ドラマ界になくてはならない存在となっている。

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