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衝撃の「過大評価」…? 世界から批判を浴びたアカデミー賞作品(5)プレゼンターすら不満…批判殺到の理由は?

映画界最大のお祭り・アカデミー賞。オスカーを獲った作品は、後世まで語り継がれる名作として大きな名誉を得ることになる。しかし1929年から続く長い歴史のなかで「なんでこの作品が?」と議論を呼ぶ結果を生むことも。今回は歴代アカデミー賞”作品賞”受賞作から「過大評価」といわれた作品を5つご紹介する。(文・ジュウ・ショ)

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保守的すぎるアカデミー賞への批判が紛糾

『クラッシュ』(2004)

サンドラ・ブロック
サンドラブロックGetty Images

上映時間:114分(ディレクターズカット版)
原題:Crash
製作国:イギリス、オーストラリア、アメリカ
監督:ポール・ハギス
脚本:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ
キャスト:サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、ジェニファー・エスポジート、ウィリアム・フィクナー、ブレンダン・フレイザー、テレンス・ハワード、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、タンディ・ニュートン、ライアン・フィリップ、ラレンズ・テイト

【作品内容】

『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本で注目を集めたポール・ハギスが監督を務めた作品。重きを置いているのは人種問題である。

黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と恋人でヒスパニックのリア(ジェニファー・エスポジート)。ペルシャ人の雑貨店店主ファハド(ショーン・トーブ)。白人が嫌いな黒人のアンソニー(リュダクリス)とピーター(ラレンズ・テイト)。差別主義者の白人警官ライアン(マット・ディロン)などが登場し、ロサンゼルスで発生した1つの交通事故を中心に、複雑に絡み合っていく……。

【注目ポイント】

『クラッシュ』がアカデミー賞を獲った年に最有力とされていたのは、アン・リー監督の『ブロークバック・マウンテン』である。低予算で作られたが、記録的な興行収入を達成し、アカデミー賞を含めて30の賞レースを制覇するなど、前評判はきわめて高かった。

『ブロークバック・マウンテン』はゲイのカップルの悲劇を描いた名作だ 。アカデミー賞作品賞を獲得できなかった際、アン・リーは「アカデミー賞が保守的過ぎて獲得できなかった」とチクリ。

心温まるヒューマンドラマを得意とする名監督がこれほど辛辣な言葉を発する機会はそう多くないだろう。『ブロークバックマウンテン』の敗北に驚きを隠せなかったのは、作り手だけではない。

アカデミー賞授賞式で作品賞のプレゼンターをつとめた俳優のジャック・ニコルソンは、封筒を開いて受賞作品のタイトルを目にした時に驚きの表情を浮かべ、その様子は全世界で放映されることに。受賞結果の意外性をこの上なくわかりやすい形で世に伝えることになった。

一方で『クラッシュ』の監督を務めたポール・ハギスは前年のアカデミー賞でオスカーを獲った『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本を務めた人物。

「人種差別」と「同性愛者」という、どちらを選んでも角が立ちそうな難題ではあるが「『ブロークバック・マウンテン』のほうが作品賞にふさわしかった」という声は今に至るまで絶たない。

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