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今なら大炎上で一発アウト!? 問題だらけの名作日本ドラマ(3)全員死亡…? 残酷すぎて放送禁止級の衝撃作

text by 寺島武志

時代を超え、人々の記憶に残る名作ドラマは数多くある。ところが、時の流れにつれ、テレビ放送における規定は変化し続けている。当時は名作と絶賛された作品も現在ではコンプライアンス的に再放送できないと判断されるものも増えてきている。今回は、現代では批判を喰らいそうな名作民放ドラマを5本厳選してご紹介する。(文・寺島武志)

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早すぎるストーリー展開に残酷描写のオンパレード

『もう誰も愛さない』(1991)

吉田栄作【Getty Images】
吉田栄作Getty Images

放送期間:1991年4月11日~6月27日
放送時間:木曜22:00~22:54
放送局:フジテレビ系
脚本: 吉本昌弘、中山乃莉子、林誠人
最高視聴率:23.8%
キャスト:吉田栄作、田中美奈子、薬丸裕英、山口智子、観月ありさ、辰巳琢郎、かとうれいこ、伊藤かずえ、仲谷昇、伊武雅刀、佐川満男、有田麻里、有田麻里、神田利則、江波杏子、荒井乃梨子、山口健次

【作品内容】

銀行の支店長付きの運転手である沢村卓也(吉田栄作)と、銀行員として働く傍ら、愛人稼業で奴隷のような毎日を過ごす宮本小百合(田中美奈子)。

金しか頭のない2人は、小百合の同僚である田代美幸(山口智子)を利用して、金を奪う計画を立てる。しかし、その計画から、上記の3人に加え、様々な登場人物を巻き込んだ欲や裏切り、陰謀が渦巻くドロドロとしたストーリーは紡がれていく…。

【注目ポイント】

愛を知らずに大人になった2人の男女を中心に繰り広げられる愛憎劇である本作。このドラマ、とにかく人が死ぬ。そして、あまりにも早すぎるストーリー展開に“ジェットコースタードラマ”と呼ばれ、ネットなどないこの時代に、口コミのみで評判が広がり、尻上がりに視聴率を上げていった異色作だ。

また、善人と悪人、強者と弱者の入れ替わりも激しく、視聴者‭にとっては「おちおちトイレにも行けない」ほどの目まぐるしさだった。クライムサスペンスという括りにとどまらず、過激なシーンも話題となり、特に伊藤かずえが演じた弁護士の町田玲子が絞殺され、死体がバラバラにされたシーンでは、その生首がゴミ捨て場にそのまま捨てられるなど、現在では考えられない残酷さで描かれている。この放送の終了後、局には伊藤かずえのファンからは抗議の声が殺到したという。

さらに、地上げ屋として成り上がったものの、小百合らの陰謀で無一文となり、チンピラに身を落とす米倉俊樹(辰巳琢郎)が射殺され、吐血しながら絶命するシーン。美幸との婚約を破棄した牧村通(薬丸裕英)が、恨みを持つ沢村を背中から刺し、そのナイフを川に捨てるシーンなどは、再放送ではカットされている。

それぞれのキャストが、それまでのイメージにない役を務めたことで、その演技にも注目された本作。特に主人公を演じた吉田栄作は、染みついていた“トレンディー俳優”の色を払拭し、毎回「ウォーー!」と叫び声を上げる各話のラストシーンも話題となった。

このドラマの成功を受け、同じ脚本家とスタッフで「あなただけ見えない」(1992)、「もう涙は見せない」(1993)と“ジェットコースタードラマ3部作”が製作された名作ドラマだ。

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