ホーム » 投稿 » 5選記事 » 日本映画 » 日本中が「ガチ号泣」… 感動のラストで知られる名作日本映画(5)結末に必ず泣いちゃう…愛に震える昭和の傑作

日本中が「ガチ号泣」… 感動のラストで知られる名作日本映画(5)結末に必ず泣いちゃう…愛に震える昭和の傑作

text by ニャンコ

家族や兄弟、恋人との別れなど、観客に幾度となく涙を流させてくれる日本映画の中でも、観終わった後もその世界観に浸っていたいと思わせる名作は数少ない。今回は、映画好きなら観ておきたい、とにかく泣きたい時におすすめの感涙映画を5本セレクト。クライマックスとともに作品の魅力を紹介していく。(文・ニャンコ)

————————

両親と別れるシーンで必ず涙する

『異人たちとの夏』(1988)

大林宣彦
監督の大林宣彦Getty Images

上映時間:108分
監督:大林宣彦
原作:山田太一
キャスト:風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎、永島敏行、名取裕子、入江若葉、林泰文、奥村公延、原一平、栩野幸知、角替和枝、柳家三吉、桂米丸、笹野高史、ベンガル、川田あつ子、飛鳥尚、中山吉浩

【作品内容】

ドラマのシナリオライターの原田英雄(風間杜夫)は、幼少期を過ごした浅草で、交通事故で亡くなってしまった両親と再会する。同じマンションに住む女性の桂(名取裕子)と恋人関係にもなり、原田は過去と決別するため両親との別れを選択する。しかし桂も幽霊であった事実を知り、友人の間宮(永島敏行)の助けを借り危機を脱し、両親へ花と線香を手向け、新たな人生を歩み出す。

【クライマックスは…】

昼間は両親の元へ行き、夜は自宅で桂と愛し合う日々が続き、疲れが溜まっていた。テレビ局では、やつれた原田を見て、みんなが心配していた。心配になった桂に問い詰められた原田は、死んだ両親に会いに行っていることを打ち明ける。桂は、死んだ人間に会いにいくことで精気が吸い取られ、このままでは原田の命も危ないことを告げる。

原田は両親に会いに行き、3人は最後のひと時ですき焼きを食べ、両親は消えてしまう。両親の割り箸を自宅に持ち帰り、桂の部屋に戻る。やつれていく原田が心配な間宮は、原田の元に訪ねてくるが、桂の部屋にいたのは瀕死の原田と幽霊の桂だった。桂は消え、原田は間宮と両親の実家があった場所へ行き、二人の割り箸を燃やす。

【注目ポイント】

終盤、浅草のすき焼き屋で原田が亡き両親と、生前は叶えることができなかった家族水入らずの夕食シーンがあるが、店内の灯りが優しく包む中、原田が両親への感謝と別れを静かに伝え、両親の姿が徐々に消えていく様子は、観客の心に感動と切なさと解放感を与えてくれる。

別れの後、原田は両親への最後の敬意として、墓に花と線香を捧げるのだが、この原田の行為は、過去の後悔からの解放と、未来への新たな歩みを象徴している。

この瞬間、原田の顔には言葉では表現しがたい平穏な表情が現れ、観客を更なる感動の渦へと巻き込むのである。

加えて、このラストシーンは単なる感動だけではなく、「人間はどんな時でも過去の後悔を乗り越え、新しい人生を歩むことができる」ということを観客へ訴えかけており、自分自身の人生と向き合うことの大切さを表現している。

本作は、単なる両親の幽霊と家族団欒のひと時を過ごす、というヒューマンドラマだけではなく、過去の後悔を乗り越えること、そして新しい人生を歩むことの大切さを教えてくれる名作だ。特に原田が両親と別れるラストシーンは、涙なくして観ることはできないだろう。

【関連記事】
日本中が「ガチで号泣」… 感動のラストで知られる名作日本映画(1)
日本中が「ガチで号泣」… 感動のラストで知られる名作日本映画(2)
日本中が「ガチで号泣」… 感動のラストで知られる名作日本映画(全作品紹介)

error: Content is protected !!