名作映画のオファーを蹴った!? 歴史に残る幻のキャスティング(2)それも観たいけど…罵声を歓声に変えた名演
世界中で大ヒットを飛ばした、ハリウッドの名作たち。あのキャスト以外考えられない!というハマり役も多い中、元々は別の有名俳優が先にオファーされていた、という話は珍しくない。今回は、そんな有名役者がオファーを蹴った映画を5本セレクト。舞台裏から垣間見える、名俳優たちの役者としてのこだわりや戦略にも注目だ。(文・寺島武志)
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歴史ある大役に国籍を超えたオファー
名誉あるオファーを蹴ってまで守った役者としてのイメージ
辞退→ヒュー・ジャックマン 抜擢→ダニエル・クレイグ
『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)
上映時間:144分
原題:Casino Royale
製作国:イギリス、アメリカ、チェコ
監督:マーティン・キャンベル
原作:イアン・フレミング
脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、ポール・ハギス
キャスト:ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、カテリーナ・ムリーノ、シモン・アブカリアン、イザック・ド・バンコレ、イェスパー・クリステンセン、イワナ・ミルセヴィッチ、
【作品内容】
スパイ映画の金字塔、「007」シリーズの21作目。007史上初となる金髪のボンド(ダニエル・クレイグ)を迎え、過去作と決別し、全く新しいストーリーとして再出発を図った作品。
殺しのライセンス“00(ダブルオー)”を得た野性味溢れるボンドが、国際テロ組織の金脈を断つために活躍する。
【注目ポイント】
5代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナンの引退を受け、後任には200人もの俳優の名前が挙がった。
そこで白羽の矢が立ったのが、ダニエル・クレイグ。初代のショーン・コネリーや3代目のロジャー・ムーア、4代目のティモシー・ダルトンともイメージが全く異なる彼に落ち着いた。
その過程で、有力とされていたのがヒュー・ジャックマンだった。オーストラリア出身の彼がブレークしたきっかけとなった作品は、『X-MEN』シリーズ。
ジャックマンは、オファーを受けた事実を明かした上で、「ボンドと(『X-MEN』シリーズのヒーローである)ウルヴァリンを演じたら、他の仕事をする時間を失うと感じた」と語り、自身のイメージを崩したくないと、この役を断る。
仮にジャックマンが、このオファーを受けていれば、史上初、イギリス人以外のボンドが誕生することになったが、それは幻に終わった。
6代目ジェームズ・ボンドとなったクレイグに対し、あまりのイメージチェンジに、当初は猛バッシングを浴び、当人も「傷付いた」と語るほどだった。しかし鍛えられた肉体と、スマートな身のこなし、そして確かな演技力を見せ、罵声を歓声に変えてみせた。
一方、ボンド役を蹴ったジャックマンは、演技の幅を広げ、ミュージカルやコメディー作品にも出演。さらには自ら製作総指揮に関わるなど、幅広く活躍している。
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