名作映画のオファーを蹴った!? 歴史に残る幻のキャスティング(4)本当は日本人が…歴史を変えた交代劇とは
世界中で大ヒットを飛ばした、ハリウッドの名作たち。あのキャスト以外考えられない!というハマり役も多い中、元々は別の有名俳優が先にオファーされていた、という話は珍しくない。今回は、そんな有名役者がオファーを蹴った映画を5本セレクト。舞台裏から垣間見える、名俳優たちの役者としてのこだわりや戦略にも注目だ。(文・寺島武志)
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銀河の彼方にまで引き継がれる日本の「武士道」精神
辞退→三船敏郎 抜擢→アレック・ギネス
『スター・ウォーズ』(1977)
上映時間:121分
原題:Star Wars
製作国:アメリカ
監督:ジョージ・ルーカス
脚本:ジョージ・ルーカス
キャスト:マーク・ハミル、ハリソン・フォード、アレック・ギネス、ピーター・カッシング、キャリー・フィッシャー、アンソニー・ダニエルズ、ケニー・ベイカー、ピーター・メイヒュー、デビッド・プラウズ、フィル・ブラウン、シェラ・フレイザー、エディ・バーン、デニス・ローソン、ギャリック・ヘイゴン
【作品内容】
宇宙を舞台としたSF映画の始祖ともいうべき一作。帝国の圧政下にあるはるか彼方の銀河系、光の守護者ジェダイの生き残りであるルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)を主人公に繰り広げられる、反乱軍と帝国軍との戦いを描いたアクション映画。
「スペース・オペラ」なる新ジャンルを確立させ、現在でも、そのシリーズが製作され続けている。続編は9作品にも及び、その他にスピンオフ作品も製作され、累計の興行収入は100億ドル以上といわれている。
【注目ポイント】
当時、若手監督の1人に過ぎなかったジョージ・ルーカスは、公開直後、「失敗だった」という知らせを聞くことを恐れ、アメリカを離れ、オーストラリアのホテルに潜んでいたが、偶然オーストラリアにいた友人のスティーブン・スピルバーグから「成功した」と知らされたという逸話が残っている。
作品を制作する際、ルーカスは日本映画や日本文化からインスピレーションを得て、「武士道」や「侍魂」に強い関心があり、さらに、『七人の侍』や『羅生門』など、黒澤明監督の作品から影響されたと語っている。
『スター・ウォーズ』に日本の俳優を起用しようと考えたルーカスは、『七人の侍』に出演し、世界的な評価を受けていた名優・三船敏郎に、ルークとアナキン・スカイウォーカーを鍛えるジェダイ・マスターであるオビ=ワン・ケノービ役をオファーする。
ライトセーバーを巧みに操るジェダイは、刀を携えた侍のようでもあり、三船が適任だと考えたルーカス。
しかし、アメリカのSF映画で日本の“侍”が安っぽく扱われてしまうことを懸念し、さらに、脚本やキャラクター像に自分が馴染めないと感じた三船はこのオファーを辞退。
それでもルーカスは諦めきれず、三船に悪の帝王ダース・ベーダー役をオファーしたが、これも却下される。
結局、オビ=ワン・ケノービはアレック・ギネスが指名され、その後、シリーズを通じて活躍することになる。ギネスは役作りのために時代劇を見て、演技に取り入れたとされている。
三船は、オビワン・ケノービ役を演じる機会を自ら手放したものの、『スター・ウォーズ』との関係は続いた。公開後、映画の成功を祝うパーティーに招待された三船はルーカスと出会い、互いに好感を抱いたという。
ルーカスは三船に、次回作の脚本を送ったりしていましたものの、スケジュールの都合などで出演できず、残念がっていたというエピソードが残っている。
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