史上最低のTBS日曜劇場ドラマは…? 不評のガッカリ作(4)ラストにズッコケ…ワンパターンすぎた失敗作は?
TBS系「日曜劇場」枠と言えば、名作ドラマの宝庫と呼び声高く、社会現象を起こした大ヒットドラマが名を連ねている。しかしその裏では、残念ながら、名作になり切れず不評に終わった作品や、中には視聴率が振るわず打ち切りを喰らったものも。今回は、TBSドラマ「日曜劇場」枠で、最も不評とされた5作品をセレクト。(文・寺島武志)
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“『半沢直樹』の劣化版”と評された不運な作品
『アトムの童』(2022)
放送期間:2022年10月16日~12月11日
脚本:神森万里江、畠山隼一
最高視聴率:10.6%
キャスト:山﨑賢人、松下洸平、岸井ゆきの、オダギリジョー、風間杜夫、でんでん、塚地武雅、岡部大、馬場徹、栁俊太郎、六角慎司、玄理、飯沼愛、林泰文、西田尚美、麻生祐未、皆川猿時
【作品内容】
老舗玩具メーカー「アトム玩具」の一人娘・海(岸井ゆきの)は、廃業の危機を迎えた「アトム」の経営再建を果たすため、後を継ぐ。一発逆転のために「ゲーム製作」への参入に打って出る。
自動車整備工場で働く青年・安積那由他(山﨑賢人)は、「ゲーム業界のバンクシー」と称された若き天才ゲーム開発者でありながら、ある事件をきっかけにゲーム開発から離れて暮らしていた。
海は、オンラインゲーム「ダウンウェル」を開発した「ジョン・ドゥ」とのコンタクトを取るために奔走する。
【注目ポイント】
山﨑賢人演じる天才ゲーム開発者が、自らの「ものづくり」のプライドを懸け、大資本と覇権を争う姿を描くオリジナルストーリー。
物語は山﨑賢人、松下洸平2人のゲーム製作の熱意と挫折、政府とも癒着関係にあるオダギリジョー演じる興津との闘いが描かれ、オンラインゲームを含めたIT業界の、生き馬の目を抜くビジネス環境を映し出している。
実写映画『キングダム』シリーズ(2019~)を筆頭に映画での活躍目覚ましく、また日曜劇場においては『陸王』(2017)で好演した山﨑を主演に据えた本作は、放送開始前から注目度も高く、各方面から期待が寄せられていた。
しかし、その前評判に反して、視聴率では苦戦する。全9話中、10%を超えたのはわずか3回。何とか完走したものの、自殺したかつての仲間・公哉の敵討ちも行われないまま、那由他と隼人の2人が、それぞれ別の道に進むラストシーンも、どこかスッキリしないもので、打ち切り説が囁かれた。
また、権力者からの外圧を逆転するストーリー展開がゲーム業界版『半沢直樹』とも揶揄された本作。『半沢直樹』が印象深かっただけに、ワンパターンと受け取る人も一定数いたのだろう。
一方で、敵役・興津を演じたオダギリジョーの演技が高く評価された。実はこの役、当初は香川照之が演じる予定だったが、女性への性加害報道を受けて降板。急遽、抜擢されたのがオダギリだったのだが、代役であることを全く感じさせない演技を見せる。それどころか、「この役を香川照之が演じる予定だったのか?」と思わせるほどのハマりぶりだった。『半沢直樹』の劣化版の烙印を押されるには惜しい作品である。
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