鳥山明先生も忘れてる…?『ドラゴンボール』未回収の伏線(3)ナメック星ドラゴンボール、何回も蘇生できる問題
2024年3月1日に惜しまれながらもこの世を去った天才漫画家・鳥山明。その代表作『ドラゴンボール』は後続の漫画家たちの常識を作り、伝説の漫画となった。しかし、物語が進むにつれ、最初の設定とは異なる展開になっている描写が多数ある。今回は、鳥山先生も忘れていそうな設定やセリフについて解説する。(文・ZAKKY)
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回を追うごとに“キャラクターの死の重み”が希薄化?
ナメック星のドラゴンボール、何回でも人を復活させられる問題
地球のドラゴンボールは、ルール上、同じ人物を生き返らせるのはたった1度である。しかし、ナメック星のドラゴンボールは、何度でも可能である。
事実、クリリンは「ピッコロ大魔王編」で一度ドラゴンボールの効力により生き返った。その後フリーザに再び惨殺されるが、本場ナメック星のドラゴンボールによる神龍「ポルンガ」によって復活する。
さらに、「魔人ブウ編」で3度目の死亡を果たすクリリンだが、その際にもナメック星のドラゴンボールを使用している(「いや、クリリン死にすぎだろ!」というツッコミは、今回スルーさせていただく)。
「よかった~!」と、まずは、胸を撫で下ろした読者たちだが、「ちょっと待てよ」と言わせていただく。フリーザにクリリンを殺され、もう生き返れないという現実がもたらす悲しみと怒りによって悟空が初めてスーパーサイヤ人に覚醒した超絶名シーンの感動は、一体何だったのかと。
あの時、読者が悟空と同じくらい感じたであろう胸が痛むほどの悲しみと怒りを返してくれ! と、そのご都合主義には賛否が分かれたものだ。
そして、ベジータが人造人間セルに息子・トランクスを殺害された際に激昂したシーンも、「どうせ、ナメック星のドラゴンボールでも何でも使えば生き返るんだから、ええやん、もう!」と、世界中のファンたちは総ツッコミをしたものだ。
また、今作品ではあの世の世界も描かれるが、物語初期には、悟空の育ての親である孫悟飯が「あの世もピチピチギャルがいて、楽しい」などと発言しており、死の重みがあまり感じられない。なんにせよ、ドラゴンボール自体の設定変更により、キャラクターの死に対する悲壮感はますます薄くなっていったのだった。
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