ホーム » 投稿 » 5選記事 » 日本映画 » 『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(4)杉下右京が問題行為で監査対象に…異色の傑作とは

『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(4)杉下右京が問題行為で監査対象に…異色の傑作とは

text by Naoki

優秀だが変人の刑事・杉下右京が、相棒と共に事件を解決していくドラマ『相棒』。2000年から2024年現在まで続くシリーズは約400話を超え、テレビドラマの他にも映画や演劇としても親しまれている。今回は、2代目相棒・神戸尊(及川光博)の回の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。(文・Naoki)

————————-

杉下右京が問題行為で監査対象に異色の傑作

シーズン9「監察対象 杉下右京」

『相棒』公式インスタグラムより

『相棒』公式インスタグラムより

 

放送日:2011年2月23日
脚本:戸田山雅司
犯人役:堀内敬子、篠塚 勝

本作は“物語の構成力”が抜きんでて素晴らしい。

特命係が捜査をするのは、IT企業の社長である金谷が殺害された事件。捜査の最中、監察官宛に杉下右京が違法捜査をしているという匿名の告発状が届く。

監察官の仁木田栞は米沢・伊丹・角田・神戸を参考人として取調べ、今回の捜査で発生している情報漏洩や無許可での個人情報の取得など違法捜査を次々と発見。そして遂に右京の監察官聴取が行われる。

右京は全ての指摘を認めるも、金谷殺人事件の真実を語りだす。事件は以前から仲間とインサイダー取引を行っていた金谷を新聞記者である森井が脅して独占取材を申し込み、それを受け入れた金谷に対して仲間が裏切りと考え殺害したというものであった。

また森井と栞は恋人関係で、捜査二課が追っていたインサイダー取引の情報を栞が森井へ流した結果、事件が引き起こされたと指摘。

更に右京への告発状を送ったのも栞で、理由は容疑者と疑われた恋人への捜査を止める為であった。上司である大河内監察官は栞を不審に思い、あえて監察官聴取を行わせ、泳がせていたのである。物語は、聴取を行っていた栞が聴取の対象になった事で右京は放免され、幕を閉じる。

なんと本作は『相棒』シリーズ史上最高の視聴率である23.7%を記録している(2024年5月現在)。

本作は戸田山雅司氏というキャラクターを活かす事に定評のある脚本家が起用されており、レギュラー陣全員の見せ場が設けられている。

そんな中でも今回特筆すべきは本文冒頭でも触れた物語の構成力。

普段は特命係や犯人の視点で物語が進むのに対して、第三者に近いレギュラーの視点で特命係や杉下右京に視線を向けることで、彼等の異端性を炙り出すという新しい試みがなされている。

また、殺人事件と監察官聴取という一見何の繋がりも無さそうな出来事が終盤に繋がったときの爽快感も素晴らしい。視聴率はあくまで基準の一つに過ぎないが、最高視聴率という看板に恥じない作品だと思う。

【関連記事】
『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(1)
『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(5)
『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(全作品紹介)

error: Content is protected !!