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絶望で最悪なエンディング…救いなき結末の傑作日本映画(4)大転落のラスト…胸が苦しくなる最悪の展開とは?

世間には見る者の心をドン底に突き落とすような後味の悪い映画が存在する。しかし、その後味の悪さは妙に後を引く。今回はそんな危険な魅力を孕んだ後味の悪い結末の日本映画をご紹介。結末の内容に深く切り込むため、物語のラスト(=ネタバレ部分)を記すので、未見の方は注意していただきたい。(文:村松健太郎)

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片山慎三監督×佐藤二朗。近年を代表するサスペンスの傑作

『さがす』(2022)

佐藤二朗
佐藤二朗Getty Images

上映時間:123分
監督:片山慎三
脚本:片山慎三、小寺和久、高田亮
キャスト:佐藤二朗、伊東蒼、清水尋也、森田望智、石井正太朗、松岡依都美、成嶋瞳子、品川徹

【作品内容】

300万円の懸賞金を目的に指名手配犯を捕まえようとして姿を消した父親と、その行方を追う娘の姿を描くサスペンス映画。『岬の兄妹』からNetflixのドラマシリーズ『全裸監督』まで手掛ける俊英・片山慎三監督作品。

【注目ポイント】

当代一の曲者俳優・佐藤二朗と若手演技派女優として名高い伊東蒼が父娘を演じ、自殺志願者とSNSを通じて知り合っては殺害して回る連続殺人犯を清水尋也が演じている。

経済的に頼りない父親を何とか支える娘と、一攫千金を狙おうとしている父親の悲喜劇かと思わせつつ、父親と連続殺人犯との共犯関係を娘が知ってしまうところから、映画は大きく転調していく。

物語が進むにつれて、金銭目的で父親が殺人の片棒を担いでいたこと、連続殺人犯が死んだ後もその犯罪を受け継ごうとしていることが判明。知りたくもなかった事実を突きつけられた娘はどう振舞うのか。

映画のラスト、娘は父親と卓球をしながら真実を突きつける。父親は否定しない。そんな時、外からパトカーのサイレンが聞こえてくる。

この迫りくるパトカーのサイレンは、観客の耳に、娘が通報したことの証拠のように響く。父親の退路は絶たれたかにみえる。

ただし、これはいささか素朴すぎる解釈かもしれない。緊急性がない場合にサイレンを鳴らせば逃走の恐れがあるため、警察がこのようなことをするとは現実的に考えづらい。したがって、このサイレンを父親を捕まえにきた警察の訪れを示すサインだと見なすのは早計である気がするのだ。

ただ、どちらにせよ娘が父親の犯罪を確信してしまった事には間違いない。序盤から父娘の絆を丹念に描いてきたからこそ、絶望を突きつけられた気分になるラストである。2人は今後二度と微笑みを交わし合うことはないだろう。

どうしてもお笑い担当キャラにキャスティングされがちの佐藤二朗だが、そうではないキャラクターを演じたときの底知れない怖さはクセになる。そんな佐藤二朗を見たいという人には2021年に公開され、自身が監督も務めた作品『はるヲうるひと』もお薦めしたい。

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