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「もう助からない…」 “世界の終わり”を描く映画5選(3)。9年前に…コロナを完全に予見した恐るべき作品とは?

text by 寺島武志

新型コロナウイルスの流行によって人々の暮らしは一変した。今後、さらに恐ろしい災難がやってこないとは限らない。今回は世界滅亡の危機を描いた作品を5本セレクト。惑星衝突、パンデミック、異常気象…。映画を通じて”世界の終わり”を追体験することで、いつかくるかもしれないXデーに対して心の準備をしておくことは無駄ではないだろう。(文・寺島武志)

●コロナ禍を予見した終末感ただようパンデミックスリラー

『コンテイジョン』(2011)


出典:Amazon

原題:Contagion
製作国:アメリカ
監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スコット・Z・バーンズ
キャスト:マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット

【作品内容】

新型コロナの世界的な終息のめどは未だに見えていない。そんな中で、再注目されている作品だ。このパンデミックを的確に予見していたかのようなストーリーで進む。

本作は、現実に起きた出来事から影響を受けている。一つは2009年に起きたブタ由来の新型インフルエンザの世界的流行。2つ目は、2003年のSARSの流行である。上記の出来事をやや誇張して描いた内容ではあるものの、まさかこの9年後に、それが現実のものになるとは誰も思っていなかっただろう。そう思わずにはいられないほど、本作の内容は新型コロナがもたらした一連の騒動とオーバーラップする。

香港で、謎のウイルス感染が発生。現地の住民をはじめ、香港からアメリカ、イギリス、日本に帰国した人々が次々と体調を崩し、命を落とす。その後も、ウイルスは驚異的なスピードで世界中に拡散される。

CDC(米国疾病予防管理センター)やWHO(世界保健機関)は治療法を探るが、ワクチンの開発は困難を極め、その間にも感染者は増え続け、さらには、ジャーナリストが、政府は事態の真相とワクチンを隠しているとブログで主張し、人々の恐怖を煽ったことによって、各地で暴動が起こり、世界は未曽有の危機に陥ることになる。

【注目ポイント】

主演を務めたマリオンコティヤールGetty Images

「Contagion=伝染」を意味する同作は、「Nothing spreads like fear=恐怖より早く広がるものはない」というキャッチコピーの通り、未知のウイルスが全世界で蔓延し、日常が崩壊していく有り様を、徹底的な化学考証に基づき、具体的な数字を挙げながら描いている。

本作は新型インフルエンザを軸とした、ディザスター作品である。また、ディザスター作品の定型どおり、世界各国を舞台にした群像劇でもある。一方、他のディザスター作品と一線を画す点もある。それはドキュメンタリー映画さながらのリアリティーだ。

新型コロナウイルスの大流行によって、本作で描かれたシチュエーションは現実のものとなった。今の状況からみると、同作が専門家への入念な取材を行った上で作られていることがわかる。

ウイルスに対抗する医療チームもリアルに描かれ、「ウイルスハンター」なる職業もあることが分かる。危険を顧みず、現地に赴いて、ウイルスの感染ルートを辿っていく地道な仕事だ。ワクチン開発する上で必須となる感染ルートを探る危険もあり、使命感がなければ務まらない仕事である。

時として、芸術は現実を予見するといわれるが、本作が伝える恐ろしさは、世界中の人々が今まさに瀕している事態を9年前の時点で描いているということ。また、それだけではなく、同作はその先に起こりうるリスクも描いている。

同作からは強い警鐘のメッセージが発せられているが、結局我々は映画で先んじて描かれた事態(パンデミック)を防ぐことができなかった。今後も人類は、同じ過ちを再び繰り返してしまうのだろうか…。観ていてそんな気持ちにとらわれる一本だ。

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