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「日本の刑務所ヤバい…!」監獄内を描いた日本映画(1)。懲りない男たち…囚人の日常を描いた喜劇

text by 寺島武志

今回は刑務所を舞台にした日本映画5本をセレクト。普段見ることが出来ないからこそ気になる刑務所内では何が行われているのか…。囚人たちの日常を描いた喜劇作から、更生プログラムに向き合うドキュメンタリーまで、受刑者たちのリアルな姿を観察できる刑務所映画を一挙に紹介しよう。(文・寺島武志)

●原作者の自伝的小説を映画化。囚人たちの日常を描いた喜劇作

『塀の中の懲りない面々』(1987)

出典:Amazon

製作国:日本
監督:森崎東
原作:安部譲二
脚本:鈴木則文、梶浦政男
キャスト:藤竜也、植木等、柳葉敏郎、森山潤久

【作品内容】

安部譲二氏の自伝的小説を映画化した作品。個性的で型破り、しかしながら人間味あふれる囚人たちが引き起こす刑務所内での日々を描いている。舞台となっている府中刑務所は前科がある再犯者たち、すなわち「懲りない面々」の巣窟だ。主人公の安部直也(藤竜也)は前科13犯。ここでは恐喝罪、銃刀法違反で懲役3年3カ月の刑を受けて服役中の身である。

刑務所で主人公を待ち受けるのは、公共の仕事しか引き受けない者、革命派の闘士、頼りにされる偽医者、紙食い男やチクリ魔、色白二枚目男などのひと癖もふた癖もある囚人たち。直也の名は“塀の中の文豪”として知れ渡っていて、懲役たちにとどまらず看守からも一目置かれていた。

ある日、直也は工場での労働で新入りのサブこと飯田三郎(森山潤久)と再会する。彼は土産に持ち込んだシャブを直也に渡すものの、看守にチクられ、入所したその日から軽塀禁になってしまう。かたや、所内でもトラブルを起こし懲罰房送りとなる直也だったが、出所する偽医者のドクに、別れた妻であるものの、なおも愛し続ける待子へとある言付けを頼む…。

【注目ポイント】

主演を務めた藤竜也Getty Images

囚人たちの日常を描いた喜劇作だが、悲しいエネルギーに満ちた“懲りない面々”の姿が印象的だ。刑務所の中と外を行き来する男たちの悲哀も窺い知ることができる。

原作の著者である安部譲二氏はコワモテながらも、その屈託のない笑顔がチャーミングな人物でもあった。そんな彼に集まる囚人たちもみんな、さまざまな感情がある、一人の人間なのだ。コメディーというよりも、人情味あふれるドラマ要素が詰まったほっこりする作品に仕上がっている。

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