『相棒』屈指の神回は? 成宮寛貴が最高…甲斐享編の傑作(3)過去最高の感動…全てが完璧な極上の物語とは?
優秀だが変人の刑事・杉下右京が、相棒と共に事件を解決していくドラマ『相棒』。2000年から2024年現在まで続くシリーズは約400話を超え、テレビドラマの他にも映画や演劇としても親しまれている。今回は、3代目相棒・甲斐享(成宮寛貴)の回の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。(文・Naoki)
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相棒史上最高の感動回
●シーズン12「待ちぼうけ」
放送日:2014年3月12日
脚本:古沢良太
犯人役:太川陽介
本作は個人的に”相棒屈指の感動回”だと思っている。
ある休日、カイトはお洒落な喫茶店で元カレを待つ雪美をナンパしていた。一方右京は無人駅で電車を待つ友部という靴職人を自称する男と出会う。
この友部こそ雪美の元カレで、20年前に二人は将来を約束していたが、友部の実家が経営難となり友部は雪美に別れを切り出す。
そして現在…再会した二人は今度こそ一緒になるべく動き始めるも、昨晩に友部は不可抗力で人を殺してしまう。人生に絶望した友部は雪美を再度突き放し、自殺の名所へ向かう為に電車を待つ。
また特命係は昨晩時点で友部が犯人だと割り出し、彼が向かう可能性のある電車の駅と雪美との待ち合わせ場所を張り込んでいたのである。右京の必死の説得で心が揺れる友部の元に、雪美から一通のメールが届く
「私は貴方を待ち続けます。例え貴方が深い絶望に陥ったとしても」
過ぎ去る電車を見送りながら友部は涙を流す。雪美に付き添われながら警察署へ向かっていく二人を見て、右京とカイトは固い握手を交わす。
本作は亀山期神回5選でも紹介した「バベルの塔」を執筆した古沢良太氏の脚本である。最初は特命係の二人が思い思いに休暇を過ごし、右京はお汁粉を買うか悩んだりカイトは駆け出しのホスト扱いされたりと笑いから始まる。
それが友部に右京が警察官と発覚した所で、物語が一気に加速。人生に絶望して死にたがっている友部にオセロを使いながら希望を必死で伝えていく姿は熱い。ただここまで書いてはいるものの、私の文才でこの感動を伝えられているか自信が無い。本作は画作りも音楽も台詞も全てが素晴らしいので、是非とも五感をフル活用して視聴して欲しい。
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