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色物だと侮るなかれ! 実は傑作ぞろい…史上最高の“VS映画”(3)予想の3倍地味で30倍グロい…異形作とは

text by 編集部

異なる作品のキャラクター同士が戦ったら、果たしてどちらが勝つのか…? と誰しもが一度は妄想したことがあるのではないだろうか。そんなファンたちの願望を実現したクロスオーバー作品には、インパクトが強いものが多数存在する。そこで、今回は様々なジャンルからセレクトした「VS映画」のベスト作品5選をご紹介する。

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決定的な描写は予想の30倍くらいグロい…異形の傑作

『トマホーク ガンマンVS食人族』(2015)

俳優のカート・ラッセル

俳優のカート・ラッセル【Getty Images】

 

上映時間:132分
原題:Bone Tomahawk
製作国:アメリカ
監督:S・クレイグ・ザラー
脚本:S・クレイグ・ザラー
キャスト:パトリック・ウィルソン、リリー・シモンズ、カート・ラッセル、ザーン・マクラーノン、ショーン・ヤング、マシュー・フォックス、シド・ヘイグ、デヴィッド・アークエット、リチャード・ジェンキンス、キャスリン・モリス

【作品内容】

西部開拓時代。荒野にある小さな田舎町が何者かに襲撃され、牛の世話係は惨殺、医師の心得のある女性など町民ふたりが拉致されてしまった。現場に遺された弓矢から、犯人は人間を喰べると恐れられている原住民と推測。

女性の夫であるアーサー、保安官のハントなど4人の男が、連れ去られた人々を奪還し、復習するための決死隊を組み、荒野を進んでいく。

【注目ポイント】

渋めで地味めな男のドラマに、いきなりゴアなバイオレンスが突き刺さるという独創的な作風で熱狂的な支持を受けるS・クレイグ・ザラー監督の初長編作。

主演はカート・ラッセル、パトリック・ウィルソン、マシュー・フォックス、リチャード・ジェンキンス。R15+指定。

「VS映画」には、日本の配給会社が邦題で勝手に「VS」を入れるというパターンもある。特に出演者やスタッフがマイナーと判断されてしまうような作品は、タイトルだけで内容を訴求できるためか、「VS」を乱用しがちなのだ。

例えば、『プレスリーVSミイラ男』(2002)、『赤ずきんVS狼男』(2016)、『ホラーマニアVS5人のシリアルキラー』(2020)など、内容をざっくりとまとめて「VS」を付けてしまった映画は数多い。

中国で大ヒットした『ウルフ・オブ・ウォー』(2015)は、サブタイトルに『ネイビー・シールズ傭兵部隊 VS PLA特殊部隊』とVS表記が入っており、ミリタリーマニアを少しでも取り込もうという健気な努力を感じる。

S・クレイグ・ザラー監督の初長編となる本作も、突き放した構図に突発的暴力が沁みわたる大傑作なのだが、原題に近い『トマホーク』だけでは中身が伝わらないと判断されたのか、「ガンマンVS食人族」というB級テイスト溢れるサブタイトルが付与されている。

本編は、確かに4人のガンマンと、西部の荒野に潜む食人族のバトルが展開するが、予想の3倍くらい地味な攻防が続き、なおかつ決定的な描写は予想の30倍くらいグロい。

ジリジリと燃えていくような作風は観ているだけで異様な緊張感を強いられるので、ある意味で「監督VS観客」といえる作品だ。

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