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『アンメット』成功の秘密は“2本軸”のストーリー? 稀代の名作となった5つの理由(4)「死」ではなく「生」を描く物語

text by かんそう

杉咲花が主演を務めたドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)。若葉竜也や岡山天音など、俳優たちによる名演技も相まって、その興奮と衝撃はいまだ冷めない。ドラマ史上に残る傑作となった本作の魅力を5つのポイントに分けて深掘り考察する。 (文・かんそう)

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【著者プロフィール:かんそう】

2014年から、はてなブログにてカルチャーブログ「kansou」を運営。記事数は1000超、累計5000万アクセス。読者登録数は全はてなブログ内で6位の多さを誇る。クイック・ジャパン ウェブ、リアルサウンド テックなどの媒体でライター活動を行うほか、TBSラジオで初の冠番組『かんそうの感想フリースタイル』のパーソナリティも務め、2024年5月に初書籍『書けないんじゃない、考えてないだけ。』を出版した。

アンメットが名作になった理由④
「死」ではなく「生」を描くストーリー

『アンメット』第8話より ©カンテレ
『アンメット』第8話より ©カンテレ

 アンメットには「ミヤビの記憶障害がどうなってしまうのか」という軸と「脳の病気を患ってしまった患者たちのストーリー」という2本の軸があった。その患者たちのストーリーがあまりにも重厚で緻密だ。

 左側の感覚を全て失う“左半側空間無視”という後遺症を負ってしまった高校サッカー部のエース・鎌田亮介(島村龍乃介)、髄膜腫の影響で味覚が落ちる後遺症を負ってしまった料理人・高美武志(小市慢太郎)、喜怒哀楽を抑えられなくなる“社会的行動障害”という後遺症が残ってしまった綾野勲(飯田基祐)など、下手をすれば一生付き合っていかなくてはならない後遺症と戦う患者たちの姿に毎話心を撃たれた。

 そして彼らの心情が絶妙にミヤビの心情とリンクしているからこそ、より視聴者はストーリーに入り込むことができる。

 また、このドラマではほとんど直接的な「死」を描いていない。あくまでも治療をした患者の「その後」を描くことで「生」を描いていた。手術シーンも、少しのミスも許されない「脳」という部位にフォーカスしているからこそ、派手さはいっさい無いが息を呑むほど緊迫した雰囲気が画面から感じられた。

(文・かんそう)

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