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上半期民放ドラマ、究極の美貌と最高の演技で魅了した女優(1)涙が止まらない…素晴らしい名演の1シーンとは?

胸キュン必至の恋愛モノや、胸を打つ医療モノをはじめ、2024年の上半期は話題作に恵まれた。作品がヒットする要因は多くあるが、役者の働きによるところは大きい。そこで今回は、中でも素晴らしい活躍を見せた女優を独自の視点で選出。殊勲賞、敢闘賞、技能賞、準MVP、MVPに分けて、その芝居の魅力を解説していく。(文・あまのさき)

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とまらない涙…女優として一皮も二皮もむけた

殊勲賞:松本まりか『ミス・ターゲット』

松本まりか
松本まりか公式Instagramより

 6月16日(日)に最終話を迎えたドラマ『ミス・ターゲット』(テレビ朝日系)は、松本まりかにとって全国ネット地上波連続ドラマ初主演作となった。

 百戦錬磨の結婚詐欺師が本気の婚活をするというストーリーから、誰しもが、あざとく、時に妖艶な表情を覗かせる“悪女”まりか様の降臨を予想したのではないだろうか。

 ところがふたを開けてみれば、松本演じる朝倉すみれはただただ純粋に、和菓子職人の村松宗春(上杉柊平)に恋をしていた。宗春が店主を務める和月堂のために必死に戦略を考えてみたり、彼の父が刑事であると知って、もう会わないと決めたはずなのにどうしても宗春のもとへ足が向いてしまったり。

 すみれが詐欺のターゲットとした轟武蔵(八嶋智人)に対する時の落ち着きが、宗春の前では別人のようにどこかにいってしまう。自分が自分じゃなくなっているのか、それともこちらが本来の姿なのか。いずれにしても、本気の恋に落ちるってこういうことなんだろうと気づかされる。

 2人の恋はなかなか真っすぐには進まないけれど、3年の時を経てもなお思い合った末、最終的には結ばれてハッピーエンドを迎えた。

 そんな本作で特に印象的だったシーンがある。第6話、すみれと宗春の恋は突如終わりを迎える。こともあろうに2人が結婚式のモデルを務めていたときに、すみれのもとに宗春の父がやってくる。

 ウエディングドレス姿のまま手錠をかけられた彼女は、すみれではなく、詐欺師・奈々の顔をしていた。そして、困惑する宗春に向かって「今までで1番簡単な相手だった」と言うのだ。宗春を傷つけないために、傷つける。初めて宗春の前で見せる詐欺師としての自分。

 冷たい顔をしていたすみれは、パトカーが走り出してからこらえきれないといった様子で涙を流した。すみれだけは、この恋にいつか終わりがくることがわかっていた。本当は泣きたくなんてなかったはずだ。それでも涙は止まらない。これでよかったんだ、とばかりに泣きながら微笑むすみれが寂しかった。

 この結婚式場からパトカーまでの一連のシーンだけでも、「このドラマを観た価値がある」と感じられるほどの名シーンだった。

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