ぶっ飛び設定がエグい…過激すぎてヤバい昭和の傑作日本映画(4)日本を震撼させた実在の猟奇殺人犯が語る
昨今の映像作品には様々な制約があり、なかなか自由に製作するのが難しい世の中となっている。しかし昭和時代に製作された作品は、突飛なものや、踏み込んだ作品が多く、かなり制限が緩かったように思える。今回は、今の時代には絶対創ることが出来ないようなコンプラアウトな日本映画を5本紹介する。(文:村松健太郎)
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実際の殺人犯が登場
カルト映画の巨匠・石井輝男監督作
『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』(1969)
監督:石井輝男
脚本:石井輝男、掛札昌裕、野波静雄
出演:吉田輝雄、石山健二郎、賀川雪絵、由利徹、阿部定
【作品内容】
タイトル通り、実際に起きた猟奇的な事件を題材にしたオムニバス作品。解剖医を狂言回しにしながら5つの事件を描く。
【注目ポイント】
“昭和の銀幕の大スター”高倉健の大ヒットシリーズ『網走番外地』などの一部の作品をのぞいて、ほぼほぼそのフィルモグラフィー自体が“カルト映画”を体現しているようなキャリアを築き上げた伝説の鬼才・石井輝男監督。中にはタイトルを言葉にすること自体が今はアウトな作品もあるほど、徹底的に振り切った作風で知られる監督である。
そんな石井監督作品の中でもとりわけセンセーショナルな一本がこの『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』。実はタイトルには嘘があって、大正の事件は取り上げられていなかったりするのはご愛敬だろう。
この映画の中でも特に凄いのが昭和の猟奇事件の一つとして取り上げられている“阿部定事件”の当事者である当時63歳の阿部定本人(1941年に服役を終えている)が登場し、インタビューに答えているところだ。後にも先にもここまで踏み込んだ映画はないだろう。
この演出(?)に関してはその後の“実録路線”や“再現ドラマ”の源流という意見もある。
ちなみに、『明治・大正・昭和 猟奇女犯罪史』を撮り上げた直後、石井監督は江戸川乱歩の諸作品を基にした“キング・オブ・カルト映画”の呼び声高い『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』を監督することになる(一部キャストが共通している)。興味のある方はそちらもぜひご覧いただきたい。
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