「狂気と疾走感がやばすぎ」映画マニアの大好物…傑作カルト映画(1)日本最高のカルト作家、究極のB級感とは?
text by 編集部
今回はマニアックだけど秀逸な映画をピックアップ。ジョン・レノン一押しの元祖カルトムービーや、じりじりとメンタルが追い詰められていく不条理ホラー、殺人鬼が迫り来る最恐スラッシャー映画…。数十年の長きに渡ってコアなファンを魅了し続ける、観なきゃ損のカルト映画5本を紹介する。今回は第1回。
『鉄男』(1989年)
監督:塚本晋也
脚本:塚本晋也
出演:田口トモロヲ、不二稿京、叶岡伸、石橋蓮司、塚本晋也、六平直政
【作品内容】
ある朝。サラリーマンの男が目を覚ますと、頬に金属のトゲのようなニキビができていた。出勤する男は、駅のホームで腕が金属に侵食された女に襲われ、反射的に殴り殺してしまう。その日を境に、徐々に鉄に侵食されていく男の身体。すべては、男が数日前にひき逃げしたヤツの仕業だったー。
【注目ポイント】
本作は、『野火』で知られる塚本晋也の初の長編作品。主演は田口トモロヲ。ローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞するなど、80年代の「ボディ・ホラー」の象徴的作品として高く評価された。
制作費1,000万、4畳半のアパートで少数のスタッフとともに制作されたという本作。モノクロの暗い画面や役者たちの過剰の演技は、いかにも「B級カルト映画」といったテイストである。しかし、目まぐるしく疾走するコマ撮りのカットや、映画全体に散りばめられた金属音のような特殊な効果音は、ほとばしるような狂気と視覚的な快楽に満ちており、中学校から自主映画を撮り続けてきたという塚本の作家性を感じさせる。
なお塚本は、本作の制作から20年余りを経た2020年、続編となる『鉄男 THE BULLET MAN』を発表。こちらも併せてチェックしたい。
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