映画マニア絶賛の傑作カルト映画は? 病みつきになる怪作(5)えっ…15分だけ…? 天才的発想のコメディ
text by 編集部
今回はマニアックだけど秀逸な映画をピックアップ。ジョン・レノン一押しの元祖カルトムービーや、じりじりとメンタルが追い詰められていく不条理ホラー、殺人鬼が迫り来る最恐スラッシャー映画…。数十年の長きに渡ってコアなファンを魅了し続ける、観なきゃ損のカルト映画5本を紹介する。今回は第5回。
●他人になりたい欲望がテーマの摩訶不思議な不条理コメディ
『マルコヴィッチの穴』(1999年)
監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ジョン・キューザック、キャメロン・ディアス、キャサリン・キーナー、オーソン・ビーン、メアリー・ケイ・プレイス、W・アール・ブラウン、チャーリー・シーン、ジョン・マルコヴィッチ、ネッド・ベラミー、オクタヴィア・スペンサー
【作品内容】
人形遣いのクレイグは、定職に就こうと、7と1/2階にある「LesterCorp」に事務員として就職する。ある日、彼はオフィスで隠し扉を発見。その奥は、深い「穴」につながっており、その「穴」を進むと、何と15分だけジョン・マルコヴィッチの頭の中に入ることができてしまうのだった。
【注目ポイント】
本作は『her/世界でひとつの彼女』で知られる監督スパイク・ジョーンズの長編デビュー作。脚本はチャーリー・カウフマンで、主演のクレイグはジョン・キューザックが演じている。
その穴を覗くと、誰もが15分だけ、あのジョン・マルコヴィッチになれるー。あまりにも奇妙な設定だが、本作では他者になりたい人間の欲望を表現した哲学的な作品にしっかり昇華されている。
また、物語のコアが「ジョン・マルコヴィッチ」というのもいい。実力のある俳優だが、誰もが認めるスーパースターではない。たとえばこれが「トム・クルーズの穴」だったら、なんか違っていただろう。なんとも絶妙な人選である。
なお、ジョーンズとカウフマンは、『脳内ニューヨーク』『アダプテーション』でもタッグを組み、後者ではベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。こちらも併せてチェックしたい。
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