人気芸人の伝説ネタが映画化されたら? 放送作家がガチ妄想(5)大どんでん返しが凄い…天才コント師の名作
漫画や小説に材をとった映画が次々と制作される中、バカリズムを始めとするお笑い芸人が脚本を担当するドラマ作品が増えている。今回は、構成に唸った伝説的なネタを5つ紹介し、「その芸人のネタそのものが映画化したら…」という名目で、現役放送作家が本気で映画を妄想企画する。(文・前田知礼)
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『ユージュアル・サスペクツ』に匹敵する名作コント
●ファイヤーサンダー『ダイイングメッセージ』
「なんやねん!クプクドゥブフて!そんなんナシやろ!」
ワタナベエンターテインメント所属のお笑いコンビ・ファイヤーサンダー(ボケ:﨑山祐、ツッコミ:こてつ)のネタ『ダイイングメッセージ』の筋書きは以下のとおりだ。
舞台はとある難事件の捜査本部。被害者の残した「KPKDBF」というダイイングメッセージを、1週間かけて解読した刑事だったが、そこで新たに「クプクドゥブフ」という人物の存在が浮上し、これまでの必死の解読が無駄だったということに気づき始める。
このネタを基にした映画『ダイイングメッセージ』の監督には、『ユージュアル・サスペクツ』(1995)のブライアン・シンガーはどうだろうか。このコントの最大の山場は、なんと言っても「クプクドゥブフ」の名が捜査線上に浮上した瞬間である(ファイヤーサンダーの公式YouTubeチャンネルがアップしているネタ動画の1分36秒あたり)。
そこで、映画版ではバラシまでの1分36秒を、映画全体の9割の長さに引き伸ばす。つまりは、刑事が「KPKDBF」の解読に捧げた1週間を丁寧に語ることで、より「クプクドゥブフ」の名前が出たときの絶望感を煽る。映画の大半を占める謎解きサスペンスで振りに振って、「自分の必死の解読など意味がなかった」という事実を突きつける。
答えは最初からすぐ近くにあった…映画史に燦然と輝く『ユージュアル・サスペクツ』の大どんでん返しのような衝撃を観客に与えるのだ。メインビジュアルには、日本の配給会社あるあるの「あなたは必ず騙される」的なコピーがつけられ、SNS上で話題の映画になること間違いなしだ。
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