ドラマ史上最高の“フラれ役”は? 不憫な役がハマった俳優(4)男として完璧…世界一カッコいい二番手は?
視聴者の胸を打つ恋愛ドラマにはどんな条件があるだろうか。主人公やヒロインの見た目や性格が良い? 設定が面白い? どれも大事な要素だ。しかし、筆者が考える条件は、ある意味で主人公よりも魅力的な「最高の当て馬がいる」ことだ。そこで今回は、扱いがいつも不憫だけど愛すべき当て馬俳優を5人セレクトして紹介する。(文・かんそう)
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世界一カッコいい“当て馬”
●菊池風磨『ファイトソング』
脚本:岡田惠和
演出:岡本伸吾、石井康晴、村尾嘉昭
出演:清原果耶、間宮祥太朗、菊池風磨(Sexy Zone)、東啓介、藤原さくら、若林時英、窪塚愛流、莉子、栗山千明、石田ひかり、橋本じゅん、戸次重幸、稲森いずみ
アイドルグループ”timelesz(旧・SexyZone)”として、ライブで観客を魅了し続けている菊池風磨。彼の当て馬としての魅力は、やはり普段とのギャップにあるだろう。
2022年に放送されたドラマ『ファイトソング』(TBS系)では、普段のステージで魅せるクールでスマートな一面を忘れさせるほど、セクシーの「セ」の字も感じさせない完璧なピエロを演じきっていた。
『ファイトソング』は、事故の影響で耳が聞こえなくなるかもしれない恐怖と戦いながら生きる木皿花枝(清原果耶)と、人を好きになったことがないラブソングの書けないミュージシャン芦田春樹(間宮祥太朗)との、不器用な恋愛模様と成長を描いた作品だ。
菊池風磨が演じたのは、花枝の幼馴染・夏川慎吾。花枝のことを誰よりも想いながらもまるで本気にされず、そのくせ自分に想いを寄せるもう1人の幼馴染・凛の気持ちには1ミリも気づかず、凛の前で花枝を指差し「今日からこちら社長夫人になられました」などと妄言をのたまってしまう愚かな男なのだ。
しかし、花枝への想いが届いた唯一の場面では我々視聴者の心をグワングワン揺さぶってくれた。
9話、聴力を失ってしまった花枝にスケッチブックを見せ「俺はずっとお前が好きだ」「女の子として好きだ」「ずっと花枝に恋してる」と本気の想いを伝える。長い年月、慎吾の想いに気づかなかった花枝は「私、ずっと慎吾につらい思いさせてたってことでしょ?」「私、ごめんなさい、って言うしかないじゃん。世界で一番好きな人なのに、ごめんなさいって言うしかないよ」とショックを受けてしまう。
そんな花枝の表情を見て慎吾は「ありがとう。その言葉だけで十分だ」と答え、スケッチブックの次のページに書いてあった「俺の恋人になってください」の一文をあえて飛ばし「これからも変わらずよろしくな」と花枝に伝えたのだ。
相手のために本当に伝えたい言葉を飲み込むその気概。セクシーではないかもしれないが、世界一カッコいい男がここにはいた。
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