人気漫画を原作とする実写映画が相次いで公開される昨今、原作ファンの厳しい眼をくぐりぬけ、名作として高く評価される作品は決して多くない。今回は高いハードルを乗り越え、映画として高い完成度を誇る作品を厳選。『週刊少年ジャンプ』実写映画の中でも満足度の高い作品をセレクトし、その魅力に迫りたい。（文・ZAKKY）

『斉木楠雄のΨ難』（2017）

出典：Amazon

監督：福田雄一
原作：麻生周一
脚本：福田雄一
キャスト
斉木楠雄：山崎賢人
照橋心美：橋本環奈
燃堂力：新井浩文
海藤瞬：吉沢亮

【作品内容】

PK学園に通う高校生、斉木楠雄。ひとりで目立たず、普通に生きたいのに、彼が隠しているのはとんでもくヤバイ超能力。年に一度の文化祭の日、穏やかに過ごしたいだけだった。が、ワケありのクラスメートたちに囲れ、とんでもなく、くだらない騒動が巻き起こる…！

またまた、福田雄一監督作の登場であるが、面白いのだから、挙げないわけにはいかない。主役の斉木楠雄に、山崎賢人のキャスティングを強く要望したという監督。これだけを聞くと「なぜギャグ要素の強い作品にシリアスな役柄の印象が強い山崎賢人を？」と思う人がいてもおかしくないだろう。

しかし、蓋を開ければ、コメディーキャラを実に見事に演じ切っており、俳優・山崎賢人の新たな一面を堪能できる傑作である。

公開当時、流行語であった“壁ドン”を斉木楠雄が行うだけで、校舎が破壊されるなど、ドリフのギャグをさらに過激化したような、どうしようもないシーンが満載。

とにかく“くだらなくて、ふざけすぎ！”。これ以上言いようがない。理屈抜きで笑えるギャグシーンのオンパレードに腹筋が崩壊しそうになる。

また、ヒロインである学園のアイドル・照橋心美(橋本環奈)は、斉木楠雄にしつこく付きまとい、闇の組織と戦っている（らしい）中二病の海藤瞬（吉沢亮）の怪演ぶりも痛快である。

さらに、福田作品常連のムロツヨシ、佐藤二郎も登場し、安定感のある芝居で観る者を笑わせる。“バカ、ここに集結する”的な、難しいこと考えず、ただただ笑いたい方にお勧めの一本だ。

（文・ZAKKY）

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