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世にも恐ろしい…実在する未解決事件をモデルにした邦画(1)日本中を恐怖に包んだ完全犯罪…真犯人はまさかの?

text by 編集部

「未解決事件」。人を惹きつける言葉だ。一口に未解決と言っても、犯人が特定されていながらも不透明な部分を残すものや、犯人逮捕の糸口さえも掴めていないものまで、多種多様であり、その謎めいた性質からフィクションの題材になることも多い。今回は実在する「未解決事件」をテーマにした映画を5本紹介する。(文・編集部)

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戦後を代表する犯罪事件「グリコ・森永事件」を描く

『罪の声』(2020)

小栗旬
小栗旬Getty Images

上映時間:142分
監督:土井裕泰
脚本:野木亜紀子
出演:小栗旬、星野源、松重豊、宇野祥平、古舘寛治、市川実日子、火野正平、宇崎竜童、梶芽衣子

【作品内容】

 京都でテーラー(紳士服の仕立屋)を営む曽根俊也(星野源)は父の遺品の中にあったカセットテープを何気なく再生してみると、そこにはかつて社会を騒然とさせた企業脅迫に使われた音声が入っていた。

 しかもそれは幼いころの自分の声だった。そんな曽根は昭和最大の事件を追う新聞記者の阿久津(小栗旬)と出会う…。

【注目ポイント】

 本作で描かれる事件は、関係する企業名こそ変更しているものの、戦後を代表する犯罪事件である「グリコ・森永事件」がモデルであることは明白である。

 1984年、武装した男たちが江崎グリコの社長を自宅から誘拐、身代金10億円を要求した。社長はその後、自力で脱出したものの、犯人グループは「グリコ製品に青酸ソーダを入れた」等の脅迫状を送った上、実際にスーパーの店頭に毒入りのグリコ製品を置き、バブル前夜の日本社会を恐怖に陥れた。

 “怪人21面相”を名乗る犯人(犯人グループ)はグリコ以降も森永製菓、丸大食品などを筆頭に複数の巨大企業を脅迫し、大金を要求した。脅迫状や犯行声明をマスメディアに送り付ける手法は、“劇場型犯罪”とも称され、当時、この事件に関連するニュースがテレビに登場しない日はなかった。

 この事件を特別なものにしているのは、現場に数多くの証拠が残されているにもかかわらず、結局、犯人逮捕に至らなかったという点だろう。

 事件の派手さと見合わない煮え切らない結末は、当然のように多くの作家にインスパイアを与えた。映画『罪の声』の原作を手がけた塩田武士もインスパイアを受けた作家の1人だ。

 塩田は本作の執筆にあたり、「グリコ・森永事件」に関するありとあらゆる資料を読み込み、これまで唱えられてきた様々な犯人説に再検討を加え、新たな“真相”をフィクションとして世に問うてみせた。

 ドラマ『アンナチュラル』(2018、TBS系)などで知られる、名脚本家・野木亜紀子がシナリオを執筆した極上のサスペンスである本作。実在の事件を知ることによって、より深く楽しめるはずだ。

(文:編集部)

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