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最も面白い三谷幸喜の脚本ドラマは? TV史に残る名作(2)爽快感が超最高…粋な群像劇の傑作とは?

text by 田中稲

2024秋-2025年春は三谷幸喜に要注目だ。彼のホームであり、30年という長い充電期間にあった劇団・東京サンシャインボーイズの復活、そして5年ぶりの映画『スオミの話をしよう』が公開中だ。今回は、三谷幸喜脚本のドラマ作品の中から見直したい名作を5つセレクト。改めて魅力をかみしめたい。(文・田中稲)

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『王様のレストラン』

山口智子

山口智子【Getty Images】

放送期間:1995年4月19日~7月5日
放送時間:水曜21:00~21:54
放送局:フジテレビ系
キャスト:九代目松本幸四郎(二代目松本白鴎)、筒井道隆、山口智子、鈴木京香、西村雅彦、小野武彦、梶原善、白井晃、伊藤俊人、田口浩正

【作品内容】

 オーナーシェフの死によって経営難に陥ったフレンチレストラン「ベル・エキプ」。伝説のギャルソンだった千石武(松本白鴎)が、新しいオーナーとなった原田禄郎(筒井道隆)や天才シェフの磯野しずか(山口智子)らと、対立しながらも再建を目指し、絆を深めていく。

【注目ポイント】

 三谷幸喜のドラマを観ていると、誰が主人公なのか、わからなくなる。それが本当に楽しい!

 私がこの「みな主人公現象」を初めて味わったのが『王様のレストラン』であった。松本白鸚というカリスマを軸に、筒井道隆、山口智子や鈴木京香といった人気スター、そこに味のあるベテラン俳優や、三谷が主宰する小劇団「東京サンシャインボーイズ」の気鋭役者が混在し、見事な一体感を放っていた。

 一話ごとにメインの人物が変わり、それがどんどんとリンクして、最終的にチームの絆と「ベル・エキプ」の再建が叶っていく。それが最高に爽快だった!

 また、フランスレストランには「ギャルソン(男性給仕)」や「ディレクトール(総支配人)」といった呼び名があることをこのドラマで知った人も多いのではなかろうか。私も「シェフ」と「ソムリエ」しか知らなかったので非常に勉強になった。

 そして今改めて登場人物の役名を見ると、畠山、しずか、政子、和田、梶原…どこかで見たことがあると思ったら、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合、2022)に登場する、鎌倉時代の人物の名! 今から29年前の『王様のレストラン』にこんな一致があるなんて。三谷幸喜がずっと鎌倉時代が大好きだったことが、このドラマから垣間見え、胸が熱くなる。

 ドラマの冒頭に「ミッシェル・サラゲッタ」なる方の格言が登場したが、そんな偉人はおらず、三谷幸喜自身、というのも遊びが利いていた。なんと粋な群像劇!

(文・田中稲)

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