夏ドラマで最も株を上げた俳優は? 演技に評価が集まる役者(3)クズを演じても最高…芸達者すぎる男は?
灼熱の暑さに呼応するかの如く、2024年の夏ドラマもアツイ! 今回は、現在放送中の夏ドラマに出演する俳優をピックアップ。あの実力派俳優から、新境地を開拓し新たな顔を見せる俳優まで、最も役者として株を上げた注目の俳優5人を選出し、その魅力を解説する。(文・あまのさき)
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
いけすかない奴も上手い…多彩な表現者
仲野太賀『新宿野戦病院』(フジテレビ系)
連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)の優三役でさらにファン層を拡大した仲野太賀が、歌舞伎町に生きる美容皮膚科医に転生して好き勝手やっている…! 『新宿野戦病院』を最初に観たとき、そんな感想を抱いた。
仲野演じる高峰亨は、「チャラくいけすかない気取り屋タイプ」だ。放送開始直前まで、それでも仲野が演じたらどこか憎めない奴になっちゃうんでしょう? と思っていたら、これが本当にいけすかなかった。
まず、服装がいい。Tシャツにジャケット、首元には柄物のスカーフを巻いて、スキニーパンツを少しだけロールアップして革靴を履いている。おまけに、唇はグロスでてらてらと輝いていた。歌舞伎町で叔父が守ってきた病院を美容整形クリニックにリニューアルしようとしている態度も何やら鼻につく。
仲野太賀って、こんな役もできるのだなぁと感心していたのもつかの間、元軍医のヨウコ(小池栄子)や舞(橋本愛)との出会いを通じて、人間性に変化が生じていく。最初こそ色恋がきっかけではあったものの、命の現場に向き合ううちに、徐々に医者然としてくる。第8話では、近隣で起きた火災事件により運び込まれた大量の患者を汚れることも厭わずに手当てしていく。
いけすかない奴をやっても上手かった。恋愛に翻弄され、全然相手にされない残念な奴を演じたら右に出る者はいないし、医者として一端になろうという真摯な姿勢を表現されたらそこはもう独壇場だ。クドカン、さすが! はもちろん、仲野太賀、最高! を堪能できるドラマとなっている。
(文・あまのさき)
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