史上最高の考察系ドラマは? 沼にハマった究極の名作(3)最終回は伝説に…日本国民を熱狂させた傑作とは?
近年、SNS普及の影響もあり、ドラマ作品の“考察ブーム”が囁かれる。考察要素を持つドラマ作品は、その世界観に視聴者を引き込み、時として、世間を席巻するほどの反響を得ることもある。今回は、考察要素の高い民放ドラマ作品を5本セレクト。一気見したくなるに違いない名作を厳選してその魅力をご紹介する。(文・寺島武志)
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教師が生徒を人質にとる学園サスペンス
SNSを使った演出が話題に
『3年A組-今から皆さんは、人質です-』
放送期間:2019年1月6日~3月10日
放送時間:日曜22:30~23:25
放送局:日本テレビ系
脚本:武藤将吾
最高視聴率:15.4%
キャスト:菅田将暉、永野芽郁、片寄涼太、川栄李奈、上白石萌歌、萩原利久、今田美桜、福原遥、神尾楓珠、鈴木仁、堀田真由、富田望生、佐久本宝、古川毅、椎名桔平、田辺誠一、大友康平、堀田茜、大原優乃
【作品内容】
魁皇高校の教師である柊一颯(菅田将暉)は、卒業まで残り10日となった3年A組の生徒29人を集めて「今から皆さんには、人質になってもらいます」と告げる。
教室の扉には特殊な鍵をかけられ、廊下では柊が仕掛けた爆弾が爆発。生徒たちは教室内に閉じ込められることに…。
柊は「最後の授業」として、半年前に自殺した生徒・景山澪奈(上白石萌歌)は何故死んだのか理由を考え、不正解であれば誰か一人に死んでもらうと宣告。生徒たちは事件の真相を解き明かしていく…。
【注目ポイント】
本作は、武藤将吾のオリジナル脚本のサスペンス色の強い学園ドラマだ。初回から教師が校舎を爆破して生徒たちを教室に閉じ込めるなど、あり得ない設定ながら、次々と監禁された生徒たちに疑惑がかけられ、少しずつ事件が明らかになっていく展開が、視聴者を惹きつけた。
学園ドラマ“冬の時代”にあって、武藤は当初、『熱中時代』や『3年B組 金八先生』のような、熱血教師ものを企画していたが、あまりにも現実にそぐわないと感じ、発想を180度転換させる。
ゴールデンプライム帯連続ドラマ初主演となる菅田将暉はじめ、その後、大きく飛躍するキャスト陣を並べ、登場する生徒にそれぞれキャッチコピーがつけられて、個性的なキャラクター設定がなされている。
『仮面ライダーW』(2009)がデビュー作であった菅田と、『仮面ライダービルド』(2017)の脚本を担当していた武藤がタッグを組んだということもあり、ところどころに、仮面ライダーを意識したようなセリフが登場するなど、遊び心も垣間見えた本作。
菅田がテレビの向こうから語りかけるような撮影手法を採用しており、これは映画『チャップリンの独裁者』(1940)を参考にしているという。
教室という密閉空間の中で物語が進行する、ほぼワンシチュエーションのドラマでありながら、SNSのライブ配信やフェイク動画など、今の時代に合わせた仕掛けがなされており、中盤まで10%を行ったり来たりだった視聴率も、尻上がりに数字を上げていった。さらに、生徒役として出演した面々の、その後の活躍は言うまでもないだろう。
最終回、逮捕される直前の柊が、生徒たちに投げかけた長ゼリフは伝説となっており、若者の心にグサリと刺さる言葉でもある。
そのDNAは、7月期に放送された『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(2023)に受け継がれ、『3年A組』と同じプロデューサーと監督によって製作された。ここでも教師役の松岡茉優や生徒役の芦田愛菜による、印象的な長ゼリフが見どころの一つだった。
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