最も“いじめっ子”役が上手かった女優は? トラウマ級の名演(2)マジで嫌いになりそう…杉咲花と張り合う名演技
text by あまのさき
学園ドラマを中心に、“イジメ”を取り扱った作品はたくさんある。それに立ち向かう側を演じる俳優には同情や応援の感情を抱くが、やはりイジメを行う役を担う俳優には嫌悪の念を抱きがちだ。だが、それはその俳優の巧さの裏返しでもある。今回は、過去に放送されたドラマの中から印象に残っている“イジメっ子”役女優を5人紹介したい。(文・あまのさき)
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
杉咲花との演技合戦に戦慄
吉川愛『夜行観覧車』(2013)
湊かなえ原作の同名小説をドラマ化し、2013年に放送されたドラマ『夜行観覧車』(TBS系)。高級住宅街に住むエリート一家で起きた事件の真相と、家族の再生と崩壊を描くミステリー作品だ。鈴木京香、石田ゆり子、中川大志、夏木マリ、高橋克典といった豪華キャストに加え、ストーリーの面白さも話題となり、いまなお多くのファンを抱える。
この作品で鈴木京香演じる遠藤真弓の娘・彩花(杉咲花)をイジメていたのが、吉川愛(当時の芸名は吉田里琴)が演じた村田志保だ。自身が一目惚れした相手と仲がよかったという理由でイジメに発展。万引きをさせたり、冬の川に鞄を放り投げて取りに行かせたりと、イジメの現場は学校からも飛び出していく。
志保に対してはとにかく清楚な印象を持つ。いまなお吉川のチャームポイントといえるさらさらと流れる長い髪は当時も変わらず、彼女が笑うと、なんだかホッとするのだ。上辺を見るだけの大人なら簡単に騙せそうだし、志保もそのことを熟知しているように見える。
だが、彩花に向ける志保の目線はどこまでも冷たい。「夜行観覧車」を観ていた人たちは、きっと志保のことが嫌いになっただろう。だが、それは吉川が演技巧者である証。イジメを受け、家庭不和もあって憔悴して壊れていく彩花を演じた杉咲との演技合戦は凄まじかった。
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