残虐すぎる…実在のテロ事件・テロリストを描いた衝撃の映画(5)抗議殺到で上映中止も…犯罪を正当化? 問題作
明治における伊藤博文暗殺事件、大正における原敬暗殺事件など、節目節目で日本の歴史を大きく変えてきたテロ事件の数々。その多くは、血塗られた黒歴史として疎まれる一方、被害者が権力者であることから「世直し」の名目で正当化されることもある。今回は、実在のテロ事件、テロリストをテーマにした映画を5本紹介する。(文・編集部)第5回。
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日本を震撼させた“あの事件”を映画化した大問題作
『REVOLUTION+1』(2022)
上映時間:75分
監督:足立正生
脚本:井上淳一、足立正生
出演:タモト清嵐、岩崎聡子、髙橋雄祐
【作品内容】
中流家庭で育った川上哲也(タモト清嵐)を取り巻く環境は、父の自殺を機に一変する。病に倒れる兄、生活の急激な変化に戸惑い、素行不良が目立つようになる妹。不幸が重なり、精神的に疲弊しきった哲也の母は、新興宗教に救いを求めるのだった…。
【注目ポイント】
2022年7月8日、耳を疑うような速報が飛び込んできた。
「安倍晋三元首相が演説中に狙撃」
日本の歴史上最長となる3188日の在任を記録している首相だけに功罪は大きく、確かに毀誉褒貶の激しい人物であったのは論をまたないだろう。とはいえ、まさか狙撃されるとは誰も夢にも思わなかったはずだ。
本作は、そんな日本を震撼させた狙撃事件を犯人の視点から描いた映画。監督は『略称・連続射殺魔』(1969)などで知られる足立正生で、事件の犯人をモデルにした主役の川上哲也を『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2008)のタモト清嵐が演じる。
公開されるや否や、SNSを中心に大きな物議を醸した本作。特に、特別版が安倍首相の国葬の日に合わせて公開されたことや、監督の足立正生が日本赤軍の元メンバーであったことから「テロリストを正当化した映画」といわれ、鹿児島市のとある映画館では、抗議が殺到したことで中止に追い込まれている。
とはいえ、監督自身の思いが詰め込まれた作品であることは間違いない。事件から2年を経てほとぼりも冷めつつある今、改めて冷静な気持ちでご覧になってはいかがだろうか。
(文:編集部)
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