「似すぎてやばい!」ミュージシャンの伝記映画ランキング第3位。けた外れの才能、”天才”を演じた2人の役者とは?
“誰にも媚びず、自分を貫く”。ロックミュージシャンたちの生き方は、退屈な日常から抜け出すためのヒントを与えてくれる。命を燃やすようにして絞り出された歌声は人々の心を震わせ、前向きな気持ちに駆り立ててくれる。これまで数多く制作されてきたロックミュージシャンの伝記映画の中から、【物語の奥深さ】、音楽がもたらす【高揚感】、モデルとなった人物や時代背景の【再現度】に着目して10本の作品をチョイス。波乱万丈の人生模様と迫力満点の音楽に酔いしれる、“一粒で二度おいしい”音楽映画を厳選してご紹介する。
3位:ラブ&マーシー 終わらないメロディー(2014)
製作国:アメリカ
原題:Love & Mercy
監督:ビル・ポーラッド
脚本:オーレン・ムーヴァーマン、マイケル・アラン・ラーナー
出演:ジョン・キューザック、ポール・ダノ、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティ
【物語の奥深さ】★★★☆
【音楽の高揚感】★★★☆
【再現度】★★★★
1960年代にビートルズと人気を二分した、伝説のバンド「ビーチ・ボーイズ」の中心メンバーであるブライアン・ウィルソンの人生を描いた作品。
1960年代、ヒット曲を連発し、飛ぶ鳥を落とす勢いのビーチ・ボーイズ。作曲を手掛けるブライアン・ウィルソンは、メンバーや父親と衝突することが多くなり、精神のバランスを崩していく。
ミュージシャンとして挫折し、心のリハビリを続けること20年。ブライアンはとある女性と出会い、再び生きる希望を取り戻していく。
1942年生まれのブライアン・ウィルソンは、ビーチ・ボーイズのリーダーであり、けた外れの作曲センスを誇る、天才ミュージシャン。1966年に発表したアルバム『ペット・サウンズ』はロック史に残る名盤として知られ、ビートルズの中心メンバーであるジョン・レノン、ポール・マッカートニー両名に多大な影響を与えたことで有名である。
天才ミュージシャンの頭の中を疑似体験させる、サウンドの迫力が素晴らしい。何の変哲もない生活音がブライアン・ウィルソンの手にかかると、魔法のようなメロディーに様変わりするから不思議だ。その点、「音楽映画」というよりかは、「音響映画」と名づけたくなるほど、サウンドデザインは凝りに凝っている。
『ペット・サウンズ』のレコーディング風景も綿密に描かれ、世紀の名盤が生み出される過程は臨場感たっぷり。作詞家のヴァン・ダイク・パークスの加入後、難解さを増していくビーチ・ボーイズの音楽。アーティストとしての道を突き進むブライアンと、大衆ウケを狙ったヒットチューンを求める他メンバーとのすれ違いが、リアルなタッチで描かれている。
絶頂期である1960年代のブライアンをポール・ダノが演じ、スランプ期である1980年代のブライアンにはジョン・キューザックが扮している。
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