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邦画史上最高の音楽映画は? 魂を震わす珠玉の日本映画(3)光輝く名作! 名匠と名優が描く青春映画の金字塔

text by ZAKKY

いつの時代も人々に感動を与えてきた音楽。ビートルズしかりローリングストーンズしかり、自身の思いを世界に表現し続けるアーティストや歌手たちは、存在自体が芸術といえるだろう。今回は、数ある音楽映画の中から、日本で製作された珠玉の作品をセレクト。観れば勇気がもらえること請け合いの5本を紹介しよう。(文・ZAKKY)

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エレキギターがつなぐ青春の絆-
名匠・大林宣彦が描く青春群像劇

『青春デンデケデケデケ』(1992)

浅野忠信
浅野忠信Getty images

上映時間:135分
監督:大林宣彦
原作:芦原すなお
脚本:石森史郎
キャスト:林泰文、大森嘉之、浅野忠信、ベンガル、尾美としのり

【作品内容】

1965年の春休み。高校入学を控えた藤原竹良(林泰文)ことちっくんは、ラジオから流れてきたザ・ベンチャーズの曲「パイプライン」のエレキギターサウンドに「電気的啓示」を受け、エレキギターの虜になってしまう。無事高校に入学した彼は、同級生たちとバンド「ロッキング・ホースメン」を組み、バンド活動に明け暮れる。

【注目ポイント】

第105回直木賞を受賞した芦原すなおの同名小説を名匠・大林宣彦監督が映画化した青春映画。ちなみに、タイトルの「デンデケデケデケ」とは、「ベンチャーズ」が得意としたトレモロ・グリッサンド奏法(ギターの弦上を指でスライドさせながらピッキングする奏法)に由来している。

本作の注目ポイントは、なんといっても役者陣だろう。まず、主役のちっくん役は、TBS系のドラマ『VIVANT』(2023年)のバトラカ役で人気を博した林泰文だが、本作に登場する林は「ザ・高校生」といった趣で、なんとも初々しい。

ちっくんのバンドメンバーである白井清一役として、浅野忠信が出演していることにも注目だ。リードギターとしてバンドのイニシアティブを握っている白井は、クールかつ理知的でありながら愛嬌を兼ねそなえており、現在の浅野のパブリックイメージとも重なる部分もある。また、ベース担当の合田富士男役の大森嘉之(当時既に20歳を超えていた)や、ベンガルや尾美としのりなど、脇を固める役者陣もベテランばかりで、安定感は抜群だ。

なお、本作のクライマックスは、「ロッキング・ホースメン」の学園祭でのライブだが、ライブ終了後は決して大団円を迎えることなく、そのまま3人は受験勉強に突入する。この描写は、受験戦争が熾烈を極めていた1960年代の高校生バンドマンたちの青春そのものと言えるだろう。

1992年の公開当時、アラフォー、アラフィフだった世代のみならず、今アラサー世代の大人たちもノスタルジーを感じるに違いない名作だ。

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