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年の差を超えた友情を描いた邦画の傑作は? 珠玉の名品(1)“寅さん”に代わる正月の顔…映画愛に溢れた人情劇

text by シモ

人が心を通わせ合うとき、年齢の差は問題ではない。しかし、何かと数字にとらわれてしまうのが人間だ。だからこそ、常識を超えた瞬間に心がときめく。今回は、年の差のある友人関係を描いた日本映画を5本セレクト。一般的なバディものと一味違った、年の離れた人間同士の交流が育む温かな物語をご紹介する。(文・シモ)

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フリーターの青年と映画館主の男の友情

『虹をつかむ男』(1996)

西田敏行
西田敏行Getty Images

監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子、田中邦衛、柳沢慎吾、松金よね子、神戸浩、鶴田忍、倍賞千恵子、前田吟

【作品内容】

 就職試験に失敗し悶々とする青年・平山亮(吉岡秀隆)は、両親とけんかの末に柴又の家を飛び出す。行く当てのない旅の末にたどり着いたのは、四国・徳島県にある光町という小さな田舎町だった。そこで、ある映画館を見つけて…。

【注目ポイント】

 本作品は、渥美清が急逝した『男はつらいよ』に変わり、正月映画の顔として作られた作品だ。

 徳島県光町で代々続く小さな映画館の館主と、その周辺の人々との交流を描いた人情劇となっている。

 かつては盛況だったが、今は古ぼけてしまった映画館・オデオン座。従業員は、館主の白銀活男(西田敏行)と映写技師の常さん(田中邦衛)の2人だけ。経営は赤字状態が続き、いつ閉館してもおかしくない状態だ。

 そんな零細映画館をたまたま見つけた亮は、オデオン座でアルバイトとして採用される。亮はろくに給料も出ない映画館の仕事に嫌気がさして、なんども辞めようと試みるが、なぜか辞める気になれない。活男の映画への並々ならぬ愛情と人柄に、どこか惹かれるものがあるからだ。そこには、単なる社長と従業員という立場だけではない、尊敬と友情の気持ちも生まれていたのだ。

 本作品は、数々の名作映画にオマージュが捧げられている。『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988)や『『雨に歌えば』(1952)をモチーフにした、映画愛あふれる会話が豊富に出てくるので、映画ファンとしてはたまらない作品となっている。

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